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アメリカ シカゴ市消防局

助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。
時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。
隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。
「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。
現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、
その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。
 

ニュージャージー州は、東のハドソン河と西のデラウェア河に挟まれた全米一の人口密度を有する都市。化学製品生産量も全米一を誇ると共に、ハイウェイや鉄道が発達した交通の要衝としてよく知られている。そして、バーリントン郡はペンシルベニア州境のデラウェア河中流域左岸に位置している。
1979年5月、イリノイ州で発行された消防版のフーズ・フー(人名録)である“The Visiting Fireman”の日本の項に筆者が掲載され、海外の多くの消防人から連絡を頂戴した。その中の一人で、東欧チェコ系のアメリカ人でボランティアファイアーファイターのスタン・タラシューヴィッツ(Stan Tarasewitz)氏と文通するうち、1982年5月18日に贈られたのがこのヘルメットである。

頑丈なガラス繊維で強化された樹脂で作られたこのケアンズアンドブラザーズ社製のヘルメットは、従来のグレイン皮革製のものから替ったばかりのタイプであった。所属を示すフロントピースは革製。消防本部名「ナイアガラ・ホーズ・カンパニー(Niagara Hose Company)」を示す「NIAGARA」や「HOSE」の文字や、第6消防隊を示す「6」の文字が入れられ、ファイアーファイターを示すカラーリングとなっている。これを固定するフロントピースホルダーとあわせ、まさにアメリカン消防を象徴した意匠をしている。それから数年を経て、この消防本部はケアンズアンドブラザーズ社の800型ヘルメットに装備を替えて今日に至っている。

災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。特徴的なデザインには様々な機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。 災害現場という場所は何が起こるかわからない。突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえるのだ。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットライトをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。

Reported in 2011