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震災救助技術合同研修会

震災救助技術合同研修会 -経験を震災対応能力の向上へ-

(財)全国消防協会中国地区支部では、平成23年10月31日と11月1日の2日間、震災救助技術合同研修会を実施しました。平成23年3月11日に発生した東日本大震災は東北地方を中心に甚大な被害をもたらし、中国地方の各消防本部からも、緊急消防援助隊として被災各地へ部隊を派遣しました。こうした経験や、今後の震災対応能力の更なる向上、そして緊急消防援助隊としての連携強化を図ることを目的に震災救助技術合同研修会が計画されました。研修会は広島市消防局の福田消防訓練場を会場として実施。講師・実演者には7消防本部から国際消防救助隊員やIEC受験隊員が41名参加。JDR(国際緊急援助隊)方式によるブリーチングやショアリングなどの訓練展示を行い、2日間で49消防本部、延べ約600名の職員が、高度な救助技術と連携方法等を確認しました。

平成23年10月31日と11月1日の2日間の日程で実施された震災救助技術合同研修会。(財)全国消防協会中国地区支部に属する49消防本部から、延べ約600名の職員が参加した。会場となった広島市消防局の福田消防訓練場。4ブースに別れ、ブリーチングやCSR、各種ショアリング、クリビングなどの研修が行われた。

国際捜索・救助諮問グループ(INSARAG:各国救助チーム間の調整等を目的とした各国の専門家からなるグループで、国連が事務局を務める)が実施する救助チームの能力を「軽(Light)クラス」・「中(Medium)クラス」・「重(Heavy)クラス」の3段階に評価する制度。これにより、各国救助チームの体制・能力の標準化を進めると共に、海外からの救助チームの活動現場等を能力に応じ効率的に調整するための参考とすることを目的としている。
2005年のIEC導入以降、これまでにアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、シンガポール、中国など、12チームが「重」評価を取得済み。日本は平成22年3月9日~12日まで、兵庫県広域防災センターにおいて国際緊急援助隊救助チーム(消防、外務省、警察庁、海上保安庁、JICAからなる隊員約70名で構成)が受験。実際の災害現場を想定した36時間にわたる演習審査等を受け、「重」の評価を取得した。

地震や台風などの自然災害が多く、豊富な経験と技術的なノウハウを蓄積してきた日本。こうした経験を途上国の災害救援に活かしたいとの思いから、1970年代後半に医療チームの派遣を中心とする国際緊急援助活動を開始。1987年には医療チームに救助チーム、専門家チームが加わり、現在の国際緊急援助体制の基礎が完成。1992年には、PKO法の改正にあわせて一部改正され、特に大規模な災害への自衛隊の派遣が可能になると同時に、PKO法とJDR法の対応範囲が整理され、紛争に起因する災害はPKOが、自然災害・ビル倒壊などの人為的災害などは、国際緊急援助隊が対応することで整理されました。
現在はこの4チームを災害の種類や規模、被災国の要請に応じて、いずれかのチームを単独ないしは複数のチームを組み合わせて派遣しています。

左)ブリーチングの研修。厚み約150mmのコンクリート床板を立てかけ、壁面に見立てる。まずはマーキングを施し、破壊範囲を決める。

右)内部の状況を確認するため、まずはサーチングホールを設定。

下)サーチングホールにファイバースコープを差込み、内部の状況を確認する。1.5m先に要救助者を確認。開口部の近くに人がいないことから、できる限り早く開口部を設定する「ダーティーブリーチング」を行うこととする。

  • マーキングを施したラインに沿って、エンジンカッ
    ターにより切込みを入れる。
  • 削岩機により、ラインに沿ってハツリを
    行う。
  • 大部分の破壊が完了したところ、仕上げとし
    て、鉄筋にまとわりつくコンクリート塊をス
    トライカーで除去する。

研修で屋外からのアクセスのみならず、狭隘空間からさらに内部にといったハードな状況でも実施。

上)ブリーチングはハードな作業。適宜隊員を入れ替えるべく、活動時間などの記録を行う。

左)縦に2個積みされたボックスカルバートを使用しての研修。これは上階から下階へのアクセスをイメージしている。

左)ブリーチングにより設定した開口部より隊員らが内部進入を図る。瓦礫やショアリング箇所を避けるように、這うように前進する。

要救助者に接触したなら観察や応急処置を実施し、直ちに搬送準備を行う。ログロールによりバックボードへ収容する。

瓦礫内部は迷路のような構造。身長に救出を行う。バックボードにあらかじめブルーシートを設定しておき、要救助者を包み込んでいる。

  • 開口部の外ではバスケット担架を用意。救出と同時に収
    容できるようにセッティングされている。
  • 開口部の状況。この大きさはバックボードが通過す
    る最低限の大きさとして一辺約90cmの三角形とし
    ている。
  • 鉄筋の切断部はガムテープを
    巻きつけ、受傷防止を図って
    いる。
  • 訓練棟を倒壊家屋に見立て、ショアリングを実施
    する。
  • カッティング・テーブルにより作業を進める隊
    員たち。
  • ソリッド・ソール・レイカー・ショアの作
    成を行う隊員。ガセット板によりレイカー
    を設定する。

左)予め設定してある2組の2ポスト・ショアを繋ぎ合わせ、レースド・ポスト・ショアを設定する。

右)完成したレースド・ポスト・ショア(写真左)とソリッド・ソール・レイカー・ショア(写真右側)。

クリビングの研修では重さ1080kgのコンクリート床板の安定化を行う。

マット型空気ジャッキによりリフトアップを行い、地面との間隙を生み出す。

上)間隙にクサビ形の枕木を差し込んで、対象物を固定。

片側ずつ同様の作業を繰り返し、重量物を任意の高さまで持ち上げる。


Reported in 2011