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2002年 総合防災訓練 in 岩国


会場のすぐ下にある錦帯橋

災害対策基本法第48条に基づき、住民・地域団体や県・市町村などの約80機関、約1,300人の防災関係機関が共同し、住民・地域団体の自主防災意識の高揚や、防災関係機関相互の緊密な協力体制の確立を目的とし、総合的な防災訓練が山口県防災会議と岩国市防災会議の主催で、8月29日(木)に岩国市横山河川敷運動広場で実施された。
この総合防災訓練は、昭和38年度を初回とし、過去三度災害が発生し実施できない年もあったが、今回で37回目となる。

 ■地震発生直後の初動対応および自主防災訓練

防災機関が災害対応のため体制を整え、被害状況を把握するための情報収集活動を行う中、住民の皆さんの「自分達の地域は自分達で守る」という自主防災の意識に基づく活動となる訓練です。

住民による応急救護および初期消火

阪神・淡路大震災において、神戸市長田区では地域住民の皆さんが、バケツや洗面器を持ち寄り、40トンの防火水槽からリレーで水を運び、火勢を自らの手で食い止めました。小さな一杯ですが、地域が力を合わせて災害に立ち向う事が大切です。
地元消防団が住民の消火活動を引き継いで消火活動を行った。また、同時に建物の周囲の灯油など、危険物の撤去作業も行われた。

 ■ 情報収集・伝達訓練

山口レスキューサポート・バイクネットワークは、今年5月に宇部市で設立された民間のボランティア組織で、バイクの機動力を活かし、道路の被災により通行の困難な状態であっても、活動を行うことが可能です。また、大きな災害では、消防機関へ多くの出動要請があるため、救急車や消防車が到着するまで、住民の皆さんによる自主防災組織の協力と活動が何よりも大切になります。
 ■ 避難・誘導訓練
地元自治会と少年消防クラブ員ガールスカウトの皆さんが、岩国警察署の先導により、高齢者や傷病者、園児の皆さんを安全な経路を探しながら避難誘導を行いました。
また、岩国市交通局の路線バスと岩国地区タクシー協会のタクシーが、避難所へ高齢者や傷病者等歩行が困難な住民の輸送を行っています。
災害が発生した場合、避難経路、避難場所を把握し、迅速かつ安全に避難誘導を行えるよう、自主防災組織としての協力体制を築くことが大切です。また、けが人が多数発生した場合、住民の皆さんが協力して応急手当を実施する事が必要になります。そのため、日頃から応急手当やけが人の搬送訓練をしておく事が必要です。

実施
平成14年8月29日(木)
AM 9:00~11:50

場所
 岩国市横山河川敷運動広場
主催
 山口県防災会議・岩国市防災会議
訓練概要
1. 大地震・台風接近を想定した訓練
ア)
自主防災組織による 救護・消火・避難誘導訓練
イ)
航空機による情報収集・消火訓練
ウ)
消防・警察による消火・救助訓練
エ)
医療機関等による救護訓練
オ)
電力・通信・水道の応急復旧訓練
カ)
炊き出し・給水・生活物資搬送などの生活支援訓練
キ)
消防団による水防工法訓練 等
 2. 化学工場の事故による
有毒物質流出を想定した訓練
ア)
警察・消防・自衛隊・米岩国基地消防隊の連携による救護・除染訓練
今回の特色
1.
自主防災組織による高齢者・幼児の避難誘導訓練
2.
ボランティアセンター運営訓練
3.
バイクボランティア団体の初参加
4.
CATVやアマチュア無線等の多様な手段による情報伝達訓練
5.
化学剤災害対処資材(検知器・化学防護服・除染機材)のデモンストレーション

 ■ 救護所の開設訓練

日本赤十字社山口県支部、岩国市医師会、岩国市医療センター医師会病院、岩国市、県立中央病院、山口県岩国地域行政連絡協議会(岩国健康福祉センター)により、救護所の開設、運営、メンタルヘルス対策が行われました。
緊急消防救助隊および日本赤十字社山口県支部により、エアーテントを展張し、仮説ベッドの組立など、応急救護所の設営がされました。クールゾーン(一般地域)で救急隊員が被災者を受け取り、救助された患者は救急隊員が酸素マスク等を活用しての救命処置等行うとともに、トリアージを行い重症患者から医療機関への搬送を行います。(トリアージとは、フランス語で「選別」を意味し、それが医学用語に使われ大規模災害発生時などの傷病者多発時において、患者の治療および搬送の優先順位を決定することを指します。トリアージを行う者は経験のある医師または看護婦等です。)
日本赤十字社山口県支部から救護班が出動して、この訓練に参加していますが、一般区域における負傷者を応急救護所においてトリアージを行い、重症患者から順に医療機関に搬送します。

 ■ 救助訓練

山口県消防防災航空隊のヘリコプター「きらら」で、中層建築物からの救助および搬送が行われました。
ヘリが被災地で活躍するために、拠点となる臨時のヘリポートの設定や、警戒のために本郷村消防団による支援活動が行われます。
ヘリコプターが飛来し、着陸や一次的に空中で停止する「ホバリング」を行うときの風圧で、ほこりや砂が飛散しないよう、消防団のポンプによる散水が行われました。また、危険防止のため、周辺区域の警戒も併せて実施しています。

 ■ 山林消化訓練
山口県消防防災
航空隊による空中消火

 

山口県緊急消防援助隊により、救助、消火、トリアージ、搬送が行われました。

【左】ヘリコプターによる水没車両からの救助
【右】岩国市消防本部により、水没車両からの潜水救助、車両の引き揚げが行われました。

 ■ 市街地救助

【左】 広島県警察広域緊急救助隊による車両からの救出
【右】 山口県警察広域緊急救助隊により、偵察および倒壊家屋からの救助が行われました。


 ■ 「化学剤による災害」対処訓練

警察・消防・自衛隊には、放射能、生物、化学テロ・事故に対応する装備として、化学防護服・放射性粉塵防護服等を保有しており、平素から着脱の訓練をはじめ、物質の除去作業、負傷者の救出・救助、除染活動等の訓練を行っています。
今回の訓練では、消防隊と自衛隊による探知器を利用した検地が実施され、また、自衛隊による、風速計と携帯探知器がセットされ、現場周辺への立ち入りを規制し、負傷者の拡大を防ぐなど、現場立ち入り処置が行われました。

【左】 大型車両からの救助者の救護所受け入れ
【右】 岩国地区消防本部による、救助、トリアージ、搬送

有毒なガス等が何であるか調べ、有効な除染活動を実施するとともに、風速計・携帯探知器により、汚染地域が広がった場合警報を出し、被害を少なくするために対処します。

 ■ 「化学剤による災害」対処訓練

【左】岩国地区消防隊員が装着しているのは、陽圧型科学防護服です。この防護服は、体を浸すような侵食性の高い有害物質から、身体を完全に密封防護します。また、そのような有害物質が存在する環境下でも活動できるように設計されています。

【中】岩国警察署隊員が装着している防護服は、消防隊員と同じもので、手にしている携帯型化学剤検知器で、10種類の化学剤と100種類以上の有毒化学物質を検知します。

【右】山口県に所在する陸上自衛隊第17普通科連隊の隊員が装着しているのは化学防護服です。背中に装備している携帯除染器で、軽易な除染を迅速に行います。


除染所ウォームゾーンでは、消防および自衛隊による身体除染が実施され、除染所で、陸上自衛隊第17普通科連隊が使用した94式除染装置は、約900リットルの溶剤等を充填でき、水500リットルを1.5分毎に約3度づつ加熱することができます。

被災現場にいるすべての人々は、すべて汚染され3段階に分けて立ち入り規制を行います。
特に有毒ガスには、皮膚、粘膜から吸収されるものがほとんどで、汚染現場周辺をホットゾーン、次に防護服を着用した人だけが入れるウォームゾーン、そして一般地域のコールゾーンの3段階です。
ホットゾーンより負傷者が救助され、衛生隊員によるトリアージが実施され、現場での除染の後、引き続き除染所へ搬送されます。
担架搬送された負傷者が運ばれた除染所は、米海兵隊岩国航空基地消防隊が装備したもので、1番目の除染プールで除染剤を使用します。2番目のプール除染で除菌剤を使用または洗浄剤を使用し、3番目の除染プールにて水で洗い流します。

また、岩国地区消防も、除染シャワーを設置し、陸上自衛隊第17普通科連隊、米海兵隊岩国航空基地消防隊とともに、負傷者の除染を行います。
ホットゾーンで岩国地区消防隊。米軍岩国航空基地消防隊第13旅団化学防護小隊による地域除染が始まり、消防車・化学除染車による放水で、希釈等を実施しました。また、化学兵器が使用された場合、地域を除染するために使用する携帯探知器は、地下鉄サリン事件にも使用されました。約11.5リットルの溶剤を充填でき、容器内の溶剤を変えることにより、あらゆる毒素に対応できます。この除染作業により、汚染地域が除染され、全ての作業が終了しました。


Reported in 2002.