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オーストリア 国際救助犬協会世界選手権

 レポート#11 オーストリア 国際救助犬協会世界選手権


ROHRBACH 【オーストリア ローバッハ】
オーストリアの田舎にある町で、農業中心で夏は避暑、冬はノルッディックスキーなどで人が集まる。大会開催時はちょうど夏の始まりでまだ避暑客は多くなく、開催は町をあげてのものとなり、町を選手が犬とともにボーイスカウトたちが持つ国名のプラカードに先導され行進し到着した町中心部の広場で行われた。
更に日本と違い、ホテルの室内はもとよりレストランやバーにまで犬を同伴できるシステムになっている。ただ一方では日本の一般的な犬たちのしつけ不足も、日本国内の同様のシステム取り入れに大きな障害になっている。盲導犬、聴導犬なども含め一般人の理解と犬のオーナーの真摯な態度が必要である。
その他、町の周辺にはドッグクラブ(犬を通じたクラブライフが楽しめる場所)がかなりあり、1つの大きさが狭くても約1000坪で大きいものは自然林などを入れると一万坪くらいはあるのではと言うようなものもある。

開催開始時期
1995年から
今回開催場所
オーストリア ローバッハ
今回開催日時
2000年
6月29日~7月2日
参加チーム数
23チーム
参加人数
138人、138頭
(監督、サポーターなど含むと400人以上)
参加国
ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、スウェーデン、デンマーク、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ノルウェー、オランダ、フィンランド、スロベニア、ルーマニア、日本、計16ヶ国

服従訓練
脚即歩行や伏せ、待て、こいなどの基礎的なもの
習熟訓練
はしご、シーソー、障害、トンネル、遠隔などの熟練度が必要なもの(全頭必須科目)
瓦礫捜索
倒壊施設や廃屋など様々な災害現場を想定した場所で生存者を発見する作業。
捜索エリアにハンドラーは入ることが出来ず、「探せ」の一言で犬が自主的に捜索活動を行う。
広域捜索
森林や岩場など広範囲な自然環境の中で、行方不明者を捜し出す作業。エリアサーチとも呼ばれる。
追求
捜索開始3時間前に靴を履いた人間が5000歩の足跡を付け、その最終点を発見する作業。トラッキングとも言う。

日本チームは、阪神淡路大震災を教訓に設立された団体の特定非営利活動法人「救助犬訓練士会」のメンバーで、プロのドッグトレーナーを中心に災害救助犬のみならず警察犬の育成や、老人ホームや障害者施設慰問などのドッグセラピーをボランティア活動として行っている。
今回の参加メンバーは全員、全頭が台湾大震災の時も災害発生の日から現地入りし救助活動を行ってきた精鋭で構成されている。その他、神奈川県玄倉川の水害などにも出動しており、災害現場の状況を十分経験している。
このような活動を通じ、一般への犬に対する理解を促進するとともに、犬しつけを含めた飼い主のレベル向上に役立つよう活動を続けていく。
尚、本会はどなたでも入会可能で、現在会員を全国的に募集中である。
参加目的
世界レベルを目指した救助犬の育成と
ハンドラー技術レベルの向上 および 情報交換
感 想 
世界のレベルは大変高いと感じた。練習施設整備レベルの違いが大きく、更に職住近接した環境と犬関連クラブの充実から練習時間が十分取れることと、周囲の理解環境などの違いが大変大きいと感じた。
また、台湾大震災出動の際に現地で行動をともにした各国チームとの再会は、本当に感動的で、当時を振り返りながらの懇親は救助ボランティアをやっていてよかったとつくづく思った。帰国後も各国チームと電子メールなどのやり取りを通じ情報の交換を行っている。
日本における災害救助犬の設定頭数は、ジャパンケンネルクラブのもので110頭くらい、その他民間団体の自主認定犬を合わせると200頭くらいは救助犬がいると思われる。
しかしながらその中で本大会の競技をこなせるような真の救助犬は1割にも満たない状況で、更に、災害の際に本当に出動できる状況にあるハンドラーと救助犬はどのくらいいるのか定かではなく、かかる社会環境の整備も大変重要なことと感じる。
各国・各チームともただ競い合うばかりでなく、他の技術を見学しながら学ぶべき点を素直に取り入れる努力をし、更にその方法などの交換も随所で行われるなど、純粋に救助レベルの向上を目的とした態度が印象的であり、ギャラリーも大人から子供まで犬を大変よく知った人々が熱心に見守っていた。
会場にはレストラン用の仮設テントが張られソーセージなどの地元の料理も提供され、主催者側の配慮も行き届いていた。
閉会式ではウィーンから現役の救助犬がクレーン車から消防士とともにロープで下ろされるデモなども行われ注目を浴びていた。
最後は各チームとのTシャツの交換なども一部で行われ、再会を約束しあって大会を終えた。
開会式場へ進行中の
日本チーム
開会式で整列した各国チーム
大島選手とさくら号
瓦礫やトタンなど不安定な場所での無指示の座れ。指導手が止まると同時に犬も無指示で座る。不安定で不快な場所でも指導手に確実に従う冷静さが要求される
各種目の表彰式
総合優勝はドイツ。瓦礫はスイス、追求がオーストリア、エリアサーチがスウェーデンが優勝でした
閉会式での
ウィーン消防局の
デモンストレーション

地上30メートル上空から指導員と犬が下ろされる。

村瀬選手とリュウ号
瓦礫捜索前の告知方法審査で。
被災者発見の際、犬がどのような方法でハンドラーに知らせるかを審査員に見せ、かつそれを評価される。
この写真ではすでに人の気配を感じ、いると思われる場所に集中している様子が良く分かる。リュウ号の場合は被災者がいる場所を前足でひっかいて知らせる。知らせを受けた指導手は、被災者発見を審査員に告知した後に犬を待たせ、その被災者救助を行う。
ただし、この告知審査は犬の告知方法の審査を主眼としているため、簡易的な箱に仮想の被災者を入れる。

瓦礫捜索において、最初の被災者発見反応がリュウ号から指導手 村瀬選手へ行われた。これは被災者の生存を確認した後、次の捜索活動に入るため指示をリュウに出しているところ。
指導手は、生存者確認作業以外で捜索場所への立ち入りは出来ない。
日本のいかなる救助犬認定試験もこのような実践スタイルは取れていない。

Reported in 2000.