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ドイツ ドレスデン消防 FIRE HOUSE1

 レポート#114 ドイツ・ドレスデン消防 FIRE HOUSE1

ドイツ東部、エルベ河の沿岸に位置するザクセン州の州都がドレスデン。芸術と文化の街として世界の人々に広く知られており、ワーグナーやウェーバーといった偉大な作曲家を輩出している。約330平方キロメートルの市域に約52万人の人々が暮らしており、この市域を4つに区切り、各エリアに消防署を配置。また、郊外エリアを義勇消防隊(ボランティア)が守るという連携体制により守りが固められている。4署にはそれぞれ、地域特性にあった特定任務が付与されている。中心部に位置するFIRE HOUSE1は特別救助隊配置署として、人命救助活動のスペシャリストが常駐。FIRE HOUSE2は工業地帯に位置していることから、毒劇物災害に対応する特殊災害対応部隊を配置。FIRE HOUSE3は救急・救助に関する指導的立場として研修所的位置づけとなっている。FIRE HOUSE4はマンションなどが立ち並ぶ住宅エリアを担当。日本で言う都市型ロープレスキュー対応部隊が置かれている。
1868年に開署したFIRE HOUSE1は4つの消防署の中で最も古く、管内人口は12万人。現在は、ドレスデン消防の本部機能を受け持ち、112コールの受付や指令管制業務も担っているが、2年後にドレスデン市域のど真ん中に新たなメインステーションが完成予定で、本部機能は今後そちらに移管される予定だ。緑豊かなドレスデンは市域の約60%が森林地帯で、FIRE HOUSE1はその大半を受け持っている(管内の約80%が森林地帯)。規模は小さいながらも年間約20件程度の林野火災が発生しているそうだ。

いかにもドイツらしい石造りの街並みを抜けると、消防署が姿を現す。車庫棟(正面左手)の屋根の上には時計台のような望楼が備わっている。

 

海外の消防車両といえば大型サイズを連想するが、ドレスデン消防の車両は日本の車両とほとんど変わらないサイズばかり。実は狭隘道路が多いために、その対策としてコンパクトなサイズで車両を製作しているのだ。

 

SUVベースの司令車。バンパーに「MAGIRUS」の文字があるとおり、車両艤装はマギルス社が担当。日本でははしご車のイメージが根強いが、消防車両の総合メーカーとして様々な車両を手がけている。司令車後部の木製ラックには、各種装備や書類が収められている。ちなみに、隊員の基本スタイルはTシャツに防火ズボン、防火靴という組み合わせ。災害出場時はこれに防火衣の上衣をはおり、ヘルメットをかぶる。

FIRE HOUSE1の配置車両でひときわ大きく特徴的なのが牽引工作車。4軸仕様のシャーシにクレーン装置とレッカー装置を備えている。

消火部隊が運用するポンプ車。ダブルキャブシャーシにオールシャッター仕様と、見慣れた構造を持っている。また、警光灯は青色で、サイレンはサイレンアンプではなくエアーホン式。欧州ではリアポンプ仕様が一般的で、後方区画にポンプが搭載されており、側面に吐水口が備えられている。

署庭に車両を出して、洗車と二次点検を行う隊員たち。車庫は日本の署所と異なり、消火・救助・救急でそれぞれ別棟の車庫が用意されている。

火災で片腕をなくした青年が、命を救ってくれた救急隊に感謝の気持ちをこめて描いたもの。いかにも芸術と文化の街といったエピソードだ。

1868年に開署したFIRE HOUSE1の歴代署長が紹介されたプレート。

写真上)FIRE HOUSE1は本部機能を備えており、通信指令室が完備されている。1993年に庁舎がリニューアルされ、最新鋭の設備が導入された。112コールは年間13万5千件(4署管内合計)。火災の内訳を見てみると、漏電火災が50%、放火30%、てんぷら油火災20%とのこと。自動火災報知設備と連動した自動火災通報器による火災通報も多いようだ。写真右上)指令室はセキュリティーも厳重。オートロックドアにより職員でも限られたものしか入室できないようになっている。

ドレスデン市域全図からFIRE HOUSE1の位置を示してくれるアヒム・シュロンさん。

展示ラックには消防車のミニカーや各都市の消防ヘルメット、写真などが並ぶ。

スクールルームと呼ばれる部屋。名前のとおり、隊員らの研修などがここで行われる。

署内のあちらこちらで見かける赤い扉。これはすべり棒室の入り口。ボタンを押すとアラームが鳴動し、扉が自動で開く。すべり棒は車庫へ直結。扉を開いてから1分後に、自動で扉が閉まる仕組み。転落防止対策も万全だ。

写真左)FIRE HOUSE1では3食を自炊でまかなっている。お邪魔したときには昼食のスープを作っている真っ最中。手際よく調理が進められていた。写真上)当務員25名が一度に食事を取れる広い食堂。テレビの横には様々なトロフィーが飾られている。写真右)テーブルの上には食事中に出場した救急隊員の、食べかけのサンドイッチとコーヒーが。この光景も万国共通だ。

写真上)寝室前にあるネームプレート。勤務体制は当番・非番・非番の3交代制で、寝室は1室4名で3部の隊員が共用している。写真下)ベッドとイスが並ぶ寝室。ロッカールームは別になっているため、ここは純粋に仮眠を取るための空間となる。

署員の半数以上は愛煙家。タバコの自動販売機が食堂に備えられている。

①トレーニングルームには様々なトレーニングマシンが完備されている。②リラックスルーム。隊員達はここで休憩時間を過ごす。③屋内訓練場を兼ねた体育館。休憩時間にはバレーやフットボールで汗を流す。④署内にはシャワー室も完備されている。

車庫スペースの一角にある防火衣ロッカー室には3部総員約75着の防火衣が並ぶ。当番隊員は自分の防火装備をここから持ち出し、乗務する車両やそのそばにセッティングして出場に備える。

1日の当務員は25名。隊員の平均年齢は41.7歳と高め。ドイツでも日本と同じく高齢化が進んでいるようだ。


Reported in 2010