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 レポート#56 アメリカ合衆国 イリノイ州 シカゴレポート2

Text & Photos by Sunny Kamiya
消防犬は365日出動しているため、どの消防士よりも出動回数が多い。
彼らは、消火活動中の消防車をいたずらや泥棒から守り、消防活動で疲れた消防士の心を癒してくれる。そして、交通事故や火災で怖い目にあった子供達をトラウマから救う役目も果たしている。
世界中の消防犬になぜ、ダルメシアンが多いのか?それは、1800年代初期、世界で最初に蒸気消防馬車が開発されたイギリスで、すでに馬車のガイド犬として使われていた歴史があったからだ。
1910年代、ダルメシアンは正式に消防犬として採用されていた。ダルメシアンの発祥の地はヨーグルトでお馴染みのグルジア共和国だそうだ。

ダルメシアンが労働犬として活躍した歴史は長い。消防組織が結成されるずっと昔、古くは1360年代の古代エジプト壁画に、ダルメシアンが王様の馬車を引く馬を誘導する姿、さらに、道行く人に馬車が通ることを告げる役目を果たしていた様子が描かれている。彼らの役割は馬を落ち着かせ、信頼させ、火災現場の直近まで馬車をコントロールしただけではなく、現着後、泥棒から消防車を守ったり、消火作業中の現場付近に野次馬を寄せ付けないように人のコントロールもしていた。
1940年以降、馬車を使わなくなったため、消防犬もダルメシアンである必要性はなくなったが、現在シカゴ市消防局の各署で飼われている消防犬300頭のうち、60頭はダルメシアンである。
(1) 公式の退職者職員記念アルバムに消防犬の写真も載っている。消防犬にも階級があり、報酬も違ったそうだが、誰が報酬をもらっていたんだろう?
(2) 1920年、消火活動を手伝う消防犬フェリックス。呼吸器もなかった時代、逃げ遅れた消防士を捜し出し、功労賞を受賞した。犬の忠誠心には頭が下がる。彼は伝説の消防犬として今でも有名だ。毎日幾度となく、火災現場に出動していたので、大変丈夫な肉球を持っていたそうだ。
(3) 1945年、ドッグ・フード工場火災で母犬を亡くした子犬のオットー。火災を起こした会社社長がお詫びとして一生分のドッグフードをプレゼントすることを約束した。災難を広告の機会として見逃さない機転と行動力に感心した。
(4) 1965年、ワシントンDCで行われた全米消防音楽隊パレードでシカゴ市消防局マーチ隊の先頭を歩いたスイス生まれの救助犬オマー。首から下げているブランデーの樽はいつもカラッポ。
シカゴ市消防局は1970年代から80年代に掛けて、ブルドッグがトレードマークだったマック社の消防車を使っていた。今は日本のメーカーも数台だが採用されている。

1982年、スクワッドレスキュー1の消防犬はセントバーナードのブランディー。彼の体重は75kg。大きすぎて、出動時に消防車に乗せるのが大変だったそうだ。
ゴア副大統領から、消防功労犬表彰をもらって喜ぶルーク。ホワイトハウスでも犬を飼っていて、会議にも出席することがあるらしい。
エンジンカンパニー30のポンプ車を見守るジョイス。彼女は本当に賢かった。話しかけると、ちゃんと私の目を見て話を聞くのが印象的だった。撤収作業中も消防士をいつもそばで見守っている。「何か手伝えることはないかな?」と気を抜かず、いつも真剣にお仕事している。
<取材協力>
Trevor Orsinger and Drew Orsinger
とてもおしゃれなエンジンカンパニー44のクリスマスカード。どうしてこんなに絵になるんだろう。

新婚カップルの仲人になった消防犬。結婚届の承認の欄に左前足の肉球のスタンプを押したそうだ。それでも通用するのがアメリカらしい。
1960年代に消防職員のリー・コワルスキーが描いた署内の風刺絵。待機中はやっぱりポーカーが定番です。
初任科卒業生が消防学校長を脅かそうと発泡スチロールで作ったジョーク犬。やはり消防は、楽しい職場でないと…。
シカゴでもっとも出動回数が多いスクワッド5のパッチ。現在、スクワッド5が位置するエリアはマフィアやギャング団の本拠地がある中心部で、署の周りで麻薬取引や売春が行われ、1時間に1回は銃声が聞こえたりする危険な地域。

Reported in 2004.
■文・写真=サニー・カミヤさんについて詳しくはこちらへ HPEmail