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 レポート#65 アメリカ合衆国 イリノイ州 シカゴレポート4

Text & Photos by Sunny Kamiya
ダウンタウンの南に位置するサウス・ショアでは、選挙を左右する有権者が住むダウンタウンから追いやられたマフィアやギャング、売春婦達が人口を増やし続けている。 このエリアを管轄に持つ消防署の平均出動回数は1日15件以上で、年々増加傾向にあり、職員の高年齢化による現場消防力の低下など、組織的な諸問題点も浮き彫りになってきた。
今後は、組織の合理化による職員数の削減や、青年層の消防力の向上など、今のシカゴ消防には、様々な改善が求められている。
シカゴの取材を終えて…
アメリカの大都市では、火災をはじめとする消防活動件数が年々減り、その数字だけをとらえて市議会の議員達が消防の必要性を判断し、消防に対する予算を減らす動きがある。
これから先、さらに火災の発生しにくい建築構造が当たり前になり、あらゆる生活を持つ住民の安全生活が向上し、事故が減るほどに消防力は情勢適応の原則として、消防予算を減らされ、消防力を削られる。
これに対して、救急業務は高齢者がすでに増えすぎていることもあり、次々に増やす方向にある。
アメリカでは将来的に、救急救命士と同じく、消防士やレスキュー隊もナショナル・ライセンス制にし、アメリカ国内であれば、どこでも働くことができるように法的整備を進めている。
もし、実現できれば、どこに行っても即戦力になることはもちろん、さまざまな地域の特性のもとで発生する自然災害や消防活動を体験でき、国全体の消防力の向上に繋がるのではないかと思う。
Sunny Kamiya

シカゴ市消防学校の初任科生は、消防士になるための試験を受験後、平均8〜10年待ちで採用の通知を受ける。採用通知を受けた時にはすでに、警察官、弁護士、看護士、電気工事士など、ほとんどが職を持っており、年収も700万円近くに達している。だが、消防士になりたければ、それらの職を辞めて消防士になり、後に非番日の副職として、今までの職業を継続するしかない。
ちなみに、初任科生の年収は320万円、5年働くと420万円まで上がるが、それ以上は頭打ちで上がらないので、救急救命士になって手当で稼ぐしかない。家族を抱える人は、年収が半分になってしまうことと消防士になりたかった夢を計りに掛けることになる。景気が悪くなるにつれて、社会がアンバランスになる。数年後、継続する景気の悪化や政治不信から、さらに消防職への経済的しわ寄せは増えるが、伝統あるシカゴ・ファイアーファイターズの熱い心と意気込みが消えることはないと期待したい。
1) 災現場を想定した捜索訓練中の初任科生。シカゴ市消防学校では数年前に初任科教養のプログラムに日本の救急二課程レベルの救急教養を取り入れた。最近はパラメディックの資格を取った後に消防試験を受ける市民が多い。体力訓練を自主的にさせているためか、ちょっと肥満気味の初任科生が多かったのが気になった。
2) 実際に殉職事故が起こった木造建物を再現し、事故の起因、問題点、事故予防対策などを消防学校生徒に体験教育させる施設。
3) 市民に、焼けている建物から二次災害が起こらない避難方法を体験教育する施設。とくに、子供達にパニック状態で道路に飛び出さないよう、何度も繰り返して教える。
4) シカゴ市消防学校に隣接する、火災予防センターの教室内。オレンジの椅子は受講者に適度な火災への危機感、緊張感を感じさせると同時に、好奇心と向上心を与える色だそうだ。
給油を終えて帰る消防車。このあと消防車に乗せてもらって、署に遊びに行ったが、平均年齢50才くらいの消防隊員ばかりだった。

危険物の表示マーク
チャイナタウンを管轄するエンジン4の機関員スコットは料理好き。普通の食事はもちろん、朝は焼きたてのパン、昼はピザ、夜はデザートのケーキまで作ってくれる。彼の非番日の趣味はネット文通と旅行で、世界12カ国に消防の友人がいて、いつでも遊びに行けると自慢していた。

消防博物館に展示されていた
世界の消防ヘルメット。
5) シカゴ市消防局の車両のドアには、帰属心と忠誠心を表す「自分たちのテーマとシンボル」のエンブレムが付けられている。白頭ワシは、古来、力の象徴であるためシンボルに使われることが多い。
6) 全米で話題のブルースクラブチェーン。1階はレストランで、2階から4階では、ブルースやコメディアンのショーが楽しめる。日曜日のゴスペルブランチはおすすめです。金曜日と土曜日の夜は毎週大盛況。
7) クリスマスショッピングで賑わうマジソンストリート。ダウンタウンはどこも明るく真夜中に女性1人で歩いても安全。街全体を明るくすることで、犯罪率が減り、衛生的になったそうだ。
シカゴ市消防職員組合が主催する、消防殉職者基金を募るために考えられた車のライセンスプレート。シカゴ市消防局内には、2つの職員組合があり、労使交渉をはじめ、殉職、公務災害保険制度などを運営し、福利厚生も担当している。
消防学校の出口に飾られているサイン。「このドアをくぐるものは、この国で最も救いようのない消防士たちである。(直訳)」と記されているが、「この消防学校を卒業した消防士は、真からの熱血消防士である。」というのがこの言葉の本当の意味だ。
火災予防の大切さをイメージ付けるために書かれた絵。人間の脳は、無意識に見たものでも、必要なときに記憶を自動的に取り出し、活かす本能があることを利用している。
ミシガンアベニューにあるCrate&Barrelは全米に展開するおしゃれなハウスウェアの店として有名。とにかく食器類がセンスが良く、使いやすく、安くておしゃれなものばかり揃えている。
消防本部に事務連絡で訪れる消防車に給油をする燃料輸送車(右側)。ダウンタウンにある出場回数が多い消防署には、巡回して給油サービスを行っている。必要があれば、長期活動中の消防現場で給油活動も行う。日本にもこういうサービスがあれば便利だと思うのだが…。
シカゴ最大のチャイナタウンの入り口(写真左)。このエリアは、中国からの移民が多く、英語を話せない人達がここで働きながら生活している。このチャイナタウンの入り口にある消防署に配備された救急車(写真右)には、中国人にもわかるように、車両番号が漢数字で表示されている。
映画「バックドラフト」に登場した消防車。映画がヒットした後に消防車コレクターが、買い付けに来たそうだ。マニアも欲のスケールがデカイ。

Reported in 2004.
■文・写真=サニー・カミヤさんについて詳しくはこちらへ HPEmail