2018.07.02

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.54 アメリカ合衆国 テキサス州 ヒューストン消防局

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命の絆 消防ヘルメット

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THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.54 アメリカ合衆国 テキサス州 ヒューストン消防局
フェデラル・シグナル・コーポレーション社
ポリカーボネート製 FH-2モデルヘルメット

 
1936年8月30日、テキサス州の平坦な土地に数多く流れているバイユー(小川)のうちの一つ、バッファロー・バイユーの河岸に創設された街、ヒューストン。テキサス共和国時代は隣国メキシコとの争いが多かったが、テキサス軍を指揮したサミュエル・ヒューストンの名前からこの街の名が定められたという。現在はアメリカ合衆国4番目の規模、人口400万人余りを有し、日本の千葉市とは姉妹都市である。綿花の集散地であり、海港や鉄道交通の中心として栄え、周囲に広がる大油田地帯から石油化学産業が発展。NASA宇宙センター、陸海空の要衝かつ日本を含む世界8各国の領事館が置かれ、世界都市として広く知られている。

1837年、ヒューストンの消防の歴史は消火用革バケツを主体とした「バケット・ブリゲード」に始まる。その初志を引き継ぐかのように、ヒューストン消防局は1859年にこの名称を掲げる。1895年6月1日にはボランティア消防が7カ所、350人の陣容でスタートしている。
今回はヒューストン市ベルエア地域を管轄するベルエア消防局(BELLAIRE FIRE DEPT,)の消防士マイケル・S・アイズマン氏より、1983年12月16日に贈られたヘルメットを紹介したい。

このヘルメットは1971年に製造されたフェデラル・シグナル・コーポレーション社FH-1モデルの帽体後下部を改良し、首頚部をカバーするように成形したFH-2モデルである。当時のアメリカ合衆国内では警察や陸軍・空軍などが競うようにこれを採用し、そのころ公開された映画「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーが着用していたものとして、映画ブーム同様にもてはやされたものだ。

それまでの消防ヘルメットとは異なる帽体の円み、半球状で頭頂のコム(緩衝突起)さえ持たない「頑丈さ一点張り」の主張。加えて顔面保護用のフェイスシールドの大きさも特徴的だ。重さは1,250グラムと日本人からすると随分重量のあるヘルメットであるが、その後1990年代にはケアンズ&ブラザーズ社製のヒューストン・モデル消防ヘルメットが復活して使われている。

今となっては懐かしさのある黄色のヘルメット。同じFH-2モデルを使用していたフロリダ州マイアミ市消防をも思い出させてくれる。

現在は、市内に94カ所のファイアステーションを配置し、ポンプ車91両、はしご車33両、先端バスケットはしご車5両、スクワッド車10両、救助車2両、ハズマット車3両、森林火災用トラック11両、空港クラッシュテンダー車12両、ヘリコプター1機、消防艇1隻、レスキューボート14隻及び電源照明/空気ボンベ充填車3両を揃えての布陣となっている。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



SUMMER 2018/FIRE RESCUE EMS vol.82

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