2019.12.27

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.61 アメリカ合衆国 コロンビア特別区(ワシントンD.C.)消防局

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命の絆 消防ヘルメット

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THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.61 アメリカ合衆国 コロンビア特別区(ワシントンD.C.)消防局
ケアンズ・アンド・ブラザー社モデル350「セネター」アルミ合金製ヘルメット

 
アメリカ合衆国の首都であるコロンビア特別区(ディストリクト・オブ・コロンビア、以下ワシントンD.C.)は、面積177平方キロメートル、人口約60万人の規模であり、都市計画で造成された整然とした街並みを持つ。1790年7月16日、この地が新しい首都領域に定められ、1791年9月9日にコロンビア区と名付けられたものの、当時この域内にはワシントン市を含む複数の自治体が存在した。その後、1871年の「コロンビア特別区基本法」により、これらが一つに統合されて今日にいたる。

消防の沿革は火災保険の取り扱い企業によって始まった。1804年9月8日のユニオン・ファイア・カンパニー、コロンビア・ファイア・カンパニー及びアナコスティック・ファイア・カンパニーを皮切りとして、1857年までの間に10の私設消防隊が続々と誕生し、顧客確保を競ってしのぎを削る状況となっていった。こうしたことからボランティア消防隊設立を求める声が高まり、1864年5月19日にワシントンD.C.域を4区分して各地区に保険会社嘱託によるボランティア消防隊を設けることとなった。結果、第1はユニオン・ファイア・カンパニー、第2はフランクリン・ファイア・カンパニー、第3はコロンビア・ファイア・カンパニー、第4はメトロポリタン・ファイア・アンド・ラダー・カンパニーが運用を担い、これが現在のコロンビア特別区消防局(Districtof Columbia Fire and EMS Department)として受け継がれるが、救急業務はワシントン州シアトル市消防局を手本として整備されている。

1968年、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏の暗殺事件に端を発し、全米主要都市において略奪や放火を含む大規模な暴動が発生した。ワシントンD.C.では4月4日から14日にかけ、放火件数は1,180件。出場した消防隊へは石やカン、ビンが投げつけられる事態となったが、1964年式アメリカン・ラ・フランス900シリーズや1964年式シーグレイブのポンプ車など当時の主力消防車両はオープン・キャブであり、40名以上の消防隊員が負傷した。消防局では急遽、合板で屋根を作り、ホーズ・ベッド(hose bed)をキャンバスで覆って現場活動に臨んだという。

そうした状況の中で隊員の頭を守ったのが、今回紹介するケアンズ・アンド・ブラザー社のアルミ合金製のモデル350「セネター(SENATOR、上院議員の意)」ヘルメットである。塗装なしのアルミ地に淡い黄色の皮革製正面シールド。帽体内中心部のメダリオンの中に「D」記号があり、1953年から1954年の製造であることを示している。シールドの「T15」は第15トラック・カンパニー(連結式はしご車隊)を表すが、このヘルメットは消防局への貢献者に対して贈られたものであり、そのことは上部に掲げられた「PRIVATE」の文字でわかる。贈られた人物は名誉消防局長であるシェルダム.R.レヴィ氏。氏とは「ヴィジティング・ファイアマン・ディレクトリー」をきっかけに手紙を交わし、そのやりとりの中で1980年12月14日にいただいた貴重な品である。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



01|02 2020/FIRE RESCUE EMS vol.89

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