2021.01.06

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION、消防ヘルメットコレクション

命の絆No.67 フランス パリ市消防(BSPP)

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命の絆 消防ヘルメット

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THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.67 フランス パリ市消防(BSPP)
ベルナール・フランク社 ニッケル・クロム/ブラス製 モデル1933カスケ

 
フランスの首都パリ市の消防体制は、イルド・フランス地域圏にある周辺3県(西部のオード・セーヌ県、北東部のセーヌ・サンドニ県及び南東部のヴァルド・マルヌ県)とともに、フランス陸軍工兵旅団が担当している。

1793年に創設されたパリ市消防「軍団ポンプス・ド・ラ・ヴィル・ド・パリ(CORPS DES GARDES-POMPES DE LA VILLE DE PARIS)」は293名が任命されていたが、給与は不十分でほかの仕事で生活しているのが実態であった。消防装備も梯子程度で、訓練もされていなかったのである。そのような状況下の1810年7月1日、パリ市内のオーストリア大使館でナポレオン・ボナパルト1世とオーストリア皇女マリー・ルイーザの結婚披露パーティが開かれている最中に出火。駆けつけた消防隊員はわずか6名のみで消火活動もままならず、23時間も燃え続けてオーストリア大使夫妻を含む14名が死亡した。この火災をきっかけにナポレオン1世は翌1811年9月18日、フランス陸軍工兵大隊から4隊142名の兵士をパリ市内の4兵舎で消防隊として従事させる布告を行った。以後フランス陸軍工兵大隊が消防任務を継続し、1867年には規模を大きくした工兵連隊、さらに100年後の1967年からは工兵旅団へと格上げされた。

この陸軍工兵旅団の正式名称はBRIGADE DE SAPEURS-POMPIERS DE PARISで、略称BSPPとして知られる。担当業務は「消火、救急搬送、有毒ガス対処、災害救助及びその他の活動」となっていて、フランス陸軍の直属旅団でありフランス内務省の機関でもある。現在は第1から第3連隊、各8個中隊がパリ市及び周辺3県を消防警備し、パリ市内には25消防隊舎を配置している。

フランスではヘルメットを「カスケ(CASQUE)」と言い、「カスケ・ボール(CASQUE BOL)」との愛称で呼ばれる。そもそもは第1次世界大戦中の西部戦線でのこと。塹壕での待機と戦闘時、フランス陸軍の歩兵、砲兵はフランネル地のケピ(KEPI)という帽子しか着装しておらず、ドイツ帝国軍から撃ち込まれ、投げ入れられる榴散弾(手榴弾)によって頭部を負傷する兵士が続出していた。これを防ぐため、1915年にフランス陸軍中将のオーギュスト・ルイ・エイドリアンが一枚の軟鋼板をプレス加工したエイドリアン・カスケを考案し、頭部保護に効果を見せた。このカスケは実に300万個も大量生産されて、1918年秋の終戦以降世界的に軍用ヘルメットが普及するきっかけとなった。エイドリアン・カスケ1915は1926年からより強力な鋼板で作られ、第2次世界大戦やその後も使用されたのである。

パリ市消防では火災現場用として1895年採用のカスケ・ボール1895を使っていたが、より実効的な性能を求めてエイドリアン・カスケ1915の発展型を検討。1932年10月5日、ベルナール・フランク・フル技士が頭頂部に低いコムを付け、火災現場で落下してくる焼損材の直撃を緩和する形のカスケを試作し、さらに帽体内の皮革製クッション、あご紐の改善を経てついに1933年11月1日に正式採用となった。「カスケ・ボール1933」として知られるこのモデルは、フランス全土及び植民地へも使用が拡がっていったが、パリ市のものは正面のブラス製の飾り金具がパリ市の紋章「セーヌ川上の一艘の帆船」となっていて、紋章上の文字は自治体名ではなくFLUCTUAT NEC MERGITUR(ラテン語の「フルクトゥアト・ネク・メルギトゥル」=「たゆたえども沈まず」、パリ市を象徴する言葉)と添えられていた。

製造はベルナール・フランク社、帽体とコムはニッケル・クロム、消防章と飾り金具はブラス、帽体内は丈夫な皮革黒染めハンモックとあご紐を仕つらえてある。白く輝くモデル1933カスケ・ボールはとても秀逸な造形品でもあり長年使われたが、顔面及び後頭部の断熱性が不十分で、EU圏内でのISO基準をクリアするためにフランス陸軍の技術陣やフランス、イタリアの民間技術者も加わってまったく新構造のガレFI型カスケが開発され、1985年8月末に一斉に更新された。

このヘルメットは、パリ市消防の任務に就いていたフランス陸軍工兵旅団の一員、ハヴァード・パトリセ・サージャント(軍曹)から1980年8月26日に贈られた。後庇の裏側には、これを使った歴代軍人の認識番号が打刻されている。同氏からはさらに数年後、パリ市消防のガレF1型カスケも贈っていただいた。イギリスの「ファイア・ブリゲード・ソサエティ」を介してのありがたい交流の一つであった。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



01|02 2021/FIRE RESCUE EMS vol.95

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