2021.02.23

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION、消防ヘルメットコレクション

命の絆No.68 イギリス イングランド エセックス・カウンティ消防

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命の絆 消防ヘルメット

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THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.68 イギリス イングランド エセックス・カウンティ消防
ヘルメット社 クロムウェルモデル F135 コルク製ヘルメット

 
エセックス(ESSEX)州はイングランド東部に位置している。首都ロンドンの北東に隣接する豊かな平野部と北海に面する沿岸部からなる14のカウンティ(郡)を有し、面積3,670平方キロメートル、人口は161万人余りである。古代ローマ帝国の執政を経て、6~8世紀末にかけてはサクセン人進攻によるサクセン王国、9世紀からはデンマーク人、やがてゲルマン系のアングロサクソンが統治をした。

近世以降、発展拡大する首都ロンドンと接する州南西部では、1889年から1965年に12の地域がメトロポリタン(ロンドン)に移管されていた。よって公共消防機関は1866年からの「メトロポリタン・ファイア・ブリゲード」に始まり、1889年からL.C.C.(ロンドン・カウンティ・シティ)の一翼として、さらには1904年からは「ロンドン・ファイア・ブリゲード」の管轄区域Cディヴィジョンとなっていた。やがてドイツが空軍力を強めてスペイン内戦で威力を示すようになると、イギリスは空襲防衛対処方として1938年1月、AFS(オージャリー・ファイア・サービス)制を定める。公的消防機関へも補助消防員が割り当てられることとなるが、働き盛りの青年男性はこのボランティア体制にほとんど参加しないまま1940年9月7日から連続57夜のロンドン空襲を迎えることとなった。当時のロンドン・ファイア・ブリゲードは、9消防署及び3隻の消防艇という態勢であったが、テームズ川の干潮時には水利に不便を生じ、応急でトラックの荷台に鉄骨を組み、カンバスを展張して水槽車として使った。AFSでは「ストリート・ファイア・パーティ」として、タクシーにトレーラー・ポンプ台車を引かせた隊員による小規模火災消火隊も活躍したが、全国基準ではないカウンティごとの消防機関では他都市への応援時に水道消火栓との結合金具が異なっているなど問題も生じた。

そこで全国の消防機関を1941年8月18日、NFS(ナショナル・ファイア・サービス=国家統一消防機関)体制へと切り替えたのである。「ファイア・フォース」という管轄ごとの担当はロンドンが第33~第38ディヴィジョン、エセックス・カウンティは第36ディヴィジョンへ含まれた。こうして第2次世界大戦を乗り越え、1948年4月1日からはFIRE ACT 1947(消防組織法というべきもの)によって、イングランドの多くのカウンティが自治体消防制定へと切り替わり、エセックス・カウンティ・ファイア・ブリゲードが誕生した。

制度は新規だが、消防庁舎は1890年代ヴィクトリア朝時代の建物やNFS時の戦時急造型ばかりで、前面はレンガ積み、本体は金属製三角断面の兵舎に近いものであり、消防車両もフォードソン・トレーラー引きポンプ車、オースチンK4応急消防車など旧式車両が大多数を占めていた。しかし隊員は黒地のラシャの上下に2列6個の金属ボタンと幅広の腰ベルトと、こちらはおしゃれであった。ヘルメットは1916年以来のブロディ・ヘルメットで、消防署長は白色、隊員はチェリーピンク色を戦時色のカーキ・グリーンの上に再塗装して着装していた。

1985年からは名称が「エセックス・ファイア・アンド・レスキュー・サービス」となり、ハットンに消防本部と指令センターを置き、東部はレイリーウィアー、西部はハーロウに司令部を配置して域内50消防署で警備にあたっている。勤務体系は3種あり、①24時間勤務(ホールタイム)12消防署、②昼間のみの勤務で夜間は呼び出し・駆け付け出動(リティン)34消防署、③昼間のみ勤務4消防署で、合計1,065名、配置消防関係車両130両以上、3消防艇である。

紹介するヘルメットは1950年代に入って使用され始めたヘルメット社のクロムウェルモデルF135。戦前から使われていたコルク材の帽体にゴム製のコムを付け、全体を黄色の被覆で覆ったもので、帽体内は緑色の樹脂塗料で仕上げ、丈夫な皮革製ハンモック及び長さ調節ホック付あご紐が仕つらえてある。正面の消防章は八稜星(五芒星が8つ)で、十字軍騎士団のモットー「機転、忍耐、勇敢、忠誠、機敏、明白、洞察及び同情」を示しているといわれている。中央にはサクセン王国時代の「刻み目のある剣」(ノッチド・サクセン)をデザインして1932年7月1日に制定されたエセックス・カウンティ紋章を配し、その下のリボンにESSEX COUNTY FIRE BRIGADEと記している。紋章の赤地に金色の剣がヘルメットに誇り高い彩りを添えている。

このヘルメットは「エセックス・ファイア・ブリゲード」のロジャーズ・デイビッド氏から1983年7月27日に贈られた。このカウンティではクロムウェルF500型、直近ではローゼンバウァー・ヒーローXトリーム型ヘルメットが使われている。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
戦闘用の兜をルーツに持つヘルメットの目的は、衝撃から頭部を守り、直接的な負傷を防ぐためにあるが、国によりさまざまな特色を見せ、性能やそれにともなう形状、デザイン、用いられる素材は時代や環境とともに進化を遂げ続けている。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

消防におけるヘルメットとは、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在である。災害現場では突如倒壊物が襲い掛かってきたり、足場の崩れ、転落の危険に晒される。もし頭を打ち意識を失えば、要救助者の生命は守れない。隊員自身もさらなる悲劇に見舞われないとも限らない。消防ヘルメット一つひとつにはストーリーが宿っている。世界の消防が使用した「ヘルメット」から、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



02|03 2021/FIRE RESCUE EMS vol.96

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