2021.06.22

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.70 スイス連邦共和国 チューリッヒ・シュタット・カントン チューリッヒ消防

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命の絆 消防ヘルメット

消防ヘルメットコレクションNo.70

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.70 スイス連邦共和国 チューリッヒ・シュタット・カントン チューリッヒ消防
カール・カイバー社 メタル製消防へルメット M1958 18 Fモデル

 
スイスは周辺国との関係から多言語社会であり、それゆえに国名はラテン語で「CONFOEDERATIO HELVETICA(コンフェデラチオ ヘルベチカ)」と表する。地方分権の徹底した国で、26あるカントン(州のごとき構成)及び2ある半カントンごとに独自の法制度が執行されているが、1351年以来の国民皆兵制度を礎に永世中立国を貫き続けてきた歴史に基づき、市民防衛の思想が脈々と生きている。これによって軍事はもとより、義有消防隊として風水害、雪害等、広範囲に市民が活動してきた。常設消防機関だけでなく、大規模な公共システム、大手薬品・化学製品企業、病院、博物館等にも自衛消防隊が設置されている結果、スイス全体で消防組織は2,114を数える。常設消防は大都市の13組織で1,700名、ボランティア市民防衛隊による消防組織が1,834組織で112,000名、そして自衛消防隊は263組織が活動している。

この国の北部中央寄りのチューリッヒ湖に面するのがチューリッヒ・シュタット・カントン。人口約160万、面積約1,664平方キロメートル、12のカウンティ及び171の町と村で構成され、カントン庁はチューリッヒ(Zürich)市に置かれている。消防機関については1922年に市街地区で始まり、さらに1928年には市街全域に拡大した。常備ではあるが隊構成の大半はボランティア態勢として進められてきた。そして1978年に制定された消防法で建物の防火対策や消防活動の基本が明文化され、以降、それに拠った実働が行われている。なお組織維持にはカントン予算の5パーセントが充当されており、火災保険による収入が主な財源であるという。なお、チューリッヒ・シュタット・カントンの消防は北部地域、南部地域、さらにチューリッヒ国際空港とその周辺に展開しているが、国際空港の化学消防車群は世界第一級の消防隊として知られる。2008年1月1日にはその国際空港近くに災害対応総合オペレーションセンターが開設され、大規模災害に対応した緊急システムが稼働を始めたほか、2000年以降、ISO(インターナショナル・スタンダード・オーガナイゼーション)に準拠した国際的な安全性能に基づいて、消防装備の一層の高次化も図られている。

紹介するヘルメットはベルン市のカール・カイバー社製の1950年代から1970年代半ばまで使われたMilitaryモデル1918年のスタンダードヘルメットである。スイスの各カントンで広く使われた一般的な消防ヘルメットだが、もとは一枚のマンガン鋼板をプレス加工した軍帽で防弾性を重視しているため、1963年に軽量化が図られたものの、重量は1,400グラムある。両耳を覆う耐風用の独特なフォルムで、頭頂部近くの後側に2つの空気抜きの小孔があり、ヘルメット下端周囲は縁どりがされている。帽体内のライナーは軟質樹脂、3カ所の支点で吊り下げられたハンモックとあご紐は皮革製である。消防用として首頚部保護と浸水防止のため、脱着式の薄い皮革製のしころが5カ所のホックで取り付けてある。帽体正面の紋章はスイスのシュタット・カントンを示すコート・オブ・アームズ。1351年にスイス国の連邦制に加入したときからのもので、盾が白と青の2色で色分けされている。ダマッセン(七宝焼)製で、その上にブラス製のファイア・アックス(消防斧)が添えられ、まっ黒なヘルメットの正面を美しく飾っている。

このヘルメットは1988年12月14日、アメリカ合衆国イリノイ州のネイパーヴィルで発行の人名録「ビジティング・ファイアマン FOR FIRE BUFF」によって知り合ったチューリッヒ市消防本部のH・ヨルディ、ファースト消防司令補から贈られた。ヘルメットの帽体内後側には1958 18 F(「FEUERWEHR・消防」の意)と白色で印字され、皮革製しころにはTELED SAとスイスの製造社名が付けてあり、M1918型の1958年製造であることを示している。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
戦闘用の兜をルーツに持つヘルメットの目的は、衝撃から頭部を守り、直接的な負傷を防ぐためにあるが、国によりさまざまな特色を見せ、性能やそれにともなう形状、デザイン、用いられる素材は時代や環境とともに進化を遂げ続けている。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

消防におけるヘルメットとは、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在である。災害現場では突如倒壊物が襲い掛かってきたり、足場の崩れ、転落の危険に晒される。もし頭を打ち意識を失えば、要救助者の生命は守れない。隊員自身もさらなる悲劇に見舞われないとも限らない。消防ヘルメット一つひとつにはストーリーが宿っている。世界の消防が使用した「ヘルメット」から、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



07|08 2021/FIRE RESCUE EMS vol.98

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