2022.01.05

消防ヘルメット消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.73 イギリス イングランド ノースヨークシャー州 クリーブランド・カウンティ消防

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命の絆 消防ヘルメット

消防ヘルメットコレクションNo.72

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
命の絆No.73 イギリス イングランド ノースヨークシャー州 クリーブランド・カウンティ消防
ヘルメット社 クロムウェルF235型 LFBスタイル コルク製ヘルメット

 
イングランド北北東部、ノースヨークシャー州の北海に面するノースライディング地方にクリーブランド・カウンティはある。北海に注ぐティーズ川の河口には古代の海底降起によって高さ460メートルの崖が続き、「ティーズのクリフ(崖)」からクリーブランドに転化したのが地名の由来ともいわれている。本来は小集落が点在するのみであったが、19世紀に鉄鉱石が発見されたことで一大発展を遂げた。採掘だけでなく、さらに東にあるダーリントン産出の石炭とあわせて高炉を用いた製鉄産業が興り、石炭や鉄製品を運ぶ海運も盛んになって人口が増加した。

イングランドやウェールズでは1948年4月1日の地方自治法の制定・施行により、首都圏大都市や地方のカウンティごと、あるいはローカルな小自治区などに消防組織が誕生していたが、クリーブランド・カウンティでは1974年4月1日になってようやく「クリーブランド・カウンティ・ファイア・ブリゲード」が創設された。カウンティは4地区から成り立っていて、それぞれの地区に1本部15消防署※を配置し、本部以下消防職員600人が人口24万人を守る消防警備に従事。また救急活動は地域の医療機関等の救急隊を出動させる共同連携体制となっていた。しかし1996年4月1日にカウンティそのものが廃止され、幾つかの地域が独立した行政自治体に分割されたので、22年間の運用でしかなかった。現在は「クリーブランド・カウンティ・ファイア・アンド・レスキューサービス」としてあらたなスタートを切っている。

紹介するヘルメットはイングランドのヘルメット社が生産したクロムウェルF235型「LFB(ロンドン消防)スタイル」。ブリティッシュ安全標準規格を1965年にクリアした#3854で、ライセンス番号は3871号だ。

尖った前庇に角張った後庇を持つ帽体の素材はコルク材で、全体を薄い合成樹脂表皮で覆っている。外観の特徴は最大5センチメートル高の7段の階段状コム。このコムこそが「ロンドン消防スタイル」で、メトロポリタン消防といわれてブラス製ヘルメットを使っていたころからのシルエットである。帽体内のハンモックは二重になっており、底は新繊維、直接頭と接する部分とライナーおよびあご紐はしなやかで丈夫な皮革で仕つらえてある。重量は1,100グラム。白いヘルメットはステーションオフィサー用で、この個体は1987年末まで使用された。

帽体正面の消防紋章はデカール貼り。消防八稜星の中のチャージ(盾)中央に配置された「ランパント・ライオン」(左後足で立ち上がり、右後足を前方、前足を上方および前方に突き出した獅子)は、この土地の大地主であったというブラス(BRUS)家の紋章である。上部左には歯車(「工業技術と産業」を象徴)、中央にかつて石炭・鉄製品を運んだ帆船(「海運」を象徴)、右に六角形(「石油化学産業」を象徴)がデザインされており、写真では判別しづらいが、帆船の図の両側には世界初の蒸気列車の「鉄路」を象徴する縦のラインが引かれる。また下部のリボンには消防機関名の「CLEVELAND COUNTY FIRE BRIGADE」の文字が記されている。

この貴重なヘルメットは、かの地で消防に携わっていたウィリアム・ビル・ヒックス氏から1988年5月7日に贈られた。

※ハートルプール地区/本部兼常備消防署1に消防隊3およびルテイン制(昼間は消防署勤務、夜間は自宅待機で呼び出しで出動する体制)消防署1に消防隊2
ミドルスブラ地区/常備消防署3に消防隊7
レッドカー・クリーブランド地区/常備消防署2に消防隊5およびルテイン制消防署4に消防隊7
ストックトン・オン・ディーズ地区/常備消防署4に消防隊7およびルテイン制消防署1に消防隊1

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
戦闘用の兜をルーツに持つヘルメットの目的は、衝撃から頭部を守り、直接的な負傷を防ぐためにあるが、国によりさまざまな特色を見せ、性能やそれにともなう形状、デザイン、用いられる素材は時代や環境とともに進化を遂げ続けている。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

消防におけるヘルメットとは、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在である。災害現場では突如倒壊物が襲い掛かってきたり、足場の崩れ、転落の危険に晒される。もし頭を打ち意識を失えば、要救助者の生命は守れない。隊員自身もさらなる悲劇に見舞われないとも限らない。消防ヘルメット一つひとつにはストーリーが宿っている。世界の消防が使用した「ヘルメット」から、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



期末号 2022/FIRE RESCUE EMS vol.101

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