2016.07.11

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

No.46 アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 ニューキャッスル市消防・第2消防隊

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命の絆 消防ヘルメット

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

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アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 ニューキャッスル市消防・第2消防隊[ケアンズアンドブラザー社 FRP製#800センチュリー型ヘルメット]

 

ペンシルベニア州はアメリカ合衆国とカナダの国境にある五大湖のひとつ、エリー湖の南にあり、東はニューヨーク州に接している。東西310 マイル、南北180 マイルに及ぶ広大な州で、州都はハリスバーグである。この州で日本でもよく知られているのは、フィラデルフィアやピッツバーグだろう。

今回紹介するヘルメットが採用されていたニューキャッスル市は、ウェストバージニア州にほど近い街。周囲にいくつかの衛星都市もあって、それだけにフリーウェイの拠点にもなっている。この辺りから北方のエリー湖岸はネイティブアメリカンのアレガニー族が支配する土地であったが、現在はエリー湖畔を含めた居留地に居住する人々が多い。緑地や森林は、スリップリーロック州立公園や州内北部のアーサー湖とここに接するモレイン州立公園が制定されているので、近代化された都市と交通路が上手くデザインされているのである。

さて、今回のヘルメットは、1994 年1 月18 日に、退職された消防幹部のカールNエウィング氏から贈られたものである。同氏はニューヨーク市消防に在籍した後、心臓疾患で休養している中「ヴィジティングファイアマン(人名録)」を読み、筆者と文通をはじめた。そして、何度か手紙を交わした後に贈られてきたのが、この黄色いヘルメットなのだ。

皮革製のヘルメット時代を継承したスタイルで、「ENGINE 2」の文字が入る大きなフロントピースと、それを支えるフロントピースホルダーなど、シールドを含め、アメリカン消防を色濃く反映したデザインが特徴といえる。今日では帽章としてシンプルなシールを貼ったものや、そのシールもないヘルメットが増えているが、このヘルメットにはフロントピースに加え、後部に赤白のゼブラパターンで「NCFD」(NEW CASTLE FIRE DEPT., の略称)の本部名略称表記が入れられている。

消防の伝統、そして部隊の歴史を大切にしたデザインが盛り込まれたこのヘルメットは、20 世紀後半を代表するものとして大切なものとなっている。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。特徴的なデザインには様々な機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。  
災害現場という場所は何が起こるかわからない。突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。

SUMMER 2016/FIRE RESCUE EMS vol.74
 

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