2022.01.11

消防活動・訓練・その他活動

【第9回 支点作成について考えよう!その2】
〜連載企画 ROPE RESCUE COLUMN
ロープレスキュー ここが知りたい!〜

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連載企画 ロープレスキューコラム

みなさんこんにちは。前回のコラムはいかがだったでしょうか?今回は、スリングやロープを使っての支点作成の基本的な解説と、注意事項などをご紹介していきます。それなりにロープレスキューをやり込んでいる方も、復習や指導内容の一例に、ぜひご一読ください。

スリングの使用

テープスリングはもっともポピュラーな支点作成用の資器材です。一般的なものは22kNの破断強度があるほか、とくに高所作業用の製品では25kN〜30kNといった強固なものも販売されています。(なお、近年はネット通販で出所不明な怪しい製品も出回っています。必ず信頼できるメーカー、信頼できる販売店から購入してください)
支持物に巻きつけて使用した場合、強度は2倍近くになりますので、44kN程度と見込むことが可能です※。ロープ救助で使用されるカラビナやロープと比較しても大きな強度があります。
※これを三重・四重と増やしても、必ずしも強度が3倍・4倍に増えるとは限りません

ロープの使用

リングが届かないような大きな支持物では、ロープを使って支点作成するのが有効です。スリングと同程度の強度が見込まれるうえ、巻き数を増やすことで強度を上げることができます。しかし、スリングと比べて伸びが大きいので、しっかり伸ばし余長を取りながら巻く必要があります。ロープは角で損傷や摩耗しやすく、その場合のコストも大きいため、きっちりと養生の判断と実施を行う必要があります。
支持物にスリングやロープを巻く場合、私は次のような内容を注意しています。

①長さ
まず、その支持物を巻くために必要十分な長さは何センチなのか?を確認します。目視・直感でわかれば良いのですが、その確信がない方は、面倒くさがらずに測って判断しましょう。手のひらや腕の長さでおおよその測定が可能です。自分の身体の各部位の長さを把握しておきましょう。たとえば私の場合、拳の幅が10cm、親指〜小指が20cm、一尋(ひとひろ)は約1.7mです。
「とにかく長いスリングを巻く」というのは能力不足の証です。長すぎるスリングは巻きにくく、自重で落下しやすくなるほか、支点位置が前に出ることで活動スペースを浪費します。活動の途中で必要な長さのスリングが足りなくなる原因にもなります。

②支持物の養生
スリング等を巻く前に、支持物を養生すべきか判断します。樹木や木材ではスリングが切れることはありませんが、荷重がかかることで樹皮や表面を傷つけたり、圧力で樹液が染み込んだりすることがあります。コンクリートや金属の構造物の場合、角がスリングを痛めるほか、鋭利な角は強度低下の原因にもなります。訓練塔にあるような丸い金属パイプでも、サビにより表面がザラザラで、スリング等が毛羽立ったりします。支持物の表面の化粧タイルが剥離したり、凹んだりすることもあります。スリングと支持物、双方を守るため、適切な養生を心がけてください。訓練ではとくに大事にしましょう。

③ねじれがないように巻きつける
ねじれがある状態でスリング等を巻くと、荷重をかけたときに均等な位置に収まりにくくなります。支持物に局所的な負荷がかかり、傷ができる恐れがあります。スリング自体の強度低下の恐れもあります。ロープの場合、巻いた途中に交差があることで、締めたり緩めたりしにくくなります。とくに、樹木のような表面がザラザラしたものや、太さのある支持物の場合、2人以上で丁寧に巻くことが重要です。

④縫い目の位置
スリングを巻く際は、縫い目の近くを持って巻いていきます。縫い目がカラビナと干渉する位置にこないようにするためです。ひばり結びにする場合は、接触部分に縫い目がこないようにしましょう。これができない人がすごく多いです。習慣にしましょう!

⑤ひばり結びの使用
ひばり結び(ガースヒッチ)はスリングがずり落ちにくい一方で、強度低下の割合が大きく、使用を避ける方も多いでしょう。目的の支点作成に対して強度不足になるのであれば使用すべきではありませんが、そもそも支持物が強固ではない場合などは避ける必要性がありません。また、ひばり結びではスリングが長く飛び出す場合があるため、適切な判断が必要です。

【ポイント】スリングの長さが足りない場合の対処
テープスリングとカラビナによる延長や、ロープ結索により対処することも可能です。カラビナが支持物に接触しないように、位置を確認し調整してください。
テープスリング同士をひばり結びで連結するのは、強度を大きく下げるためやってはいけません(とくに異なる太さや素材での連結は禁忌)。いずれも大きく時間を食うので、そうならないように①を徹底しましょう。

養生の道具

実際の現場で支点作成をするには、養生やそれを固定する資器材が必要です。
写真は庁舎の壁で支点作成したものです。外壁のタイルと窓枠が破損しないよう、毛布とクリブ材を当てて、ラチェットベルトで固定しています。キャンバスシート、ロープガード、金属やプラスチック製の保護具のほか、それらを固定する粘着テープ、クリップ、荷締めバンドなども重要なアイテムです。

いかがでしたか?訓練塔や大会では簡単に支点が作成できてしまうため、こういった手技の訓練が見過ごされていないでしょうか?非常に地味ですが、とても重要な作業工程です。ロープレスキューだけでなく、三連梯子の固定や車両の安定化など、さまざまな救助活動でも共通している内容ですので、ぜひ意識して訓練していただければ幸いです。

大西 隆介(おおにし りゅうすけ)
大学時代に公共政策を学び、部活では登山やクライミングに没頭した経験からロープレスキューの世界へ。日本の労働安全法令や消防組織に適した救助技術を研究している。救助大会「縄救」や「日台消防交流会」などのイベントも主宰。通称「ジミーちゃん」

office-R2 ロープレスキュー講習欧・米の11mmロープ資器材を用い、国内法令にも準拠した活動を提案。「ロープ高所作業」「墜落制止用器具」の特別教育も。2022年2月、関東&関西で第7回目となる初中級者向けロープレスキュー大会「縄救」を実施予定!

お問い合わせ090-3989-8502
ホームページhttps://r2roperescueropeacce.wixsite.com/office-r2

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