北九州市は昭和38年（1963年）に5市合併によって誕生した九州初の百万都市であり、市域内に市街地、住宅地、工業地帯をはじめ、200キロメートルを超える長い海岸線と200を超える河川、広大な山塊も有することから、消防局には多様な災害への対処能力が求められる。
1本部（局）、7消防署、18消防分署、救急ワークステーション及び北九州空港内に消防航空隊という組織規模で災害に対応する北九州市消防局は、第49回全国消防救助技術大会の開催地でもあり、現在はその準備も並行して進めている。本号では、市民との関わり深い北九州市消防局ならではの特色ある取り組みなどをピックアップし、紹介する。

JICA研修「消防・防災」

独立行政法人国際協力機構（JICA）と総務省消防庁との連携により世界各国から毎年消防関係者を受け入れ、日本の優れた消防技術及び防災知識を伝達。研修修了者は自国の消防の発展向上に貢献することとなる。
また、消防局職員をアジア地域へ派遣し、国際協力・技術協力を推進。

JICA研修「消防・防災」開講式

消火技術指導

フィジー共和国での救助技術指導

産学官の共同研究により開発された
石けん系泡消火薬剤

開発のきっかけとなったのは、平成7年（1995年）に発生した阪神淡路大震災。被災地には全国から消防隊が駆けつけ、北九州市消防局からも多くの隊員を派遣した。しかし、消防隊に突き付けられたのは、大火を目の前に放水活動ができないという厳しい現実だった。水道管や消火栓が地震によって破壊し尽くされていたのだ。この度し難い屈辱を教訓にし、少ない水でも効果的に消火できる泡消火薬剤の導入検証が始まった。

当時流通していた外国製の泡消火薬剤は消火の効果は得られるものの、土壌や河川への流出時に環境への負荷があることがわかった。北九州市消防局は、市民の安全と安心を重視し、環境配慮型の泡消火薬剤の独自開発に踏み出した。

平成19年（2007年）製品化された
「ミラクルフォーム」

現在、北九州市消防局で採用している泡消火薬剤「ミラクルフォーム」こそが、北九州市消防局、北九州市立大学、シャボン玉石けん（株）の共同研究によって生まれた取り組み成果である。天然系の界面活性剤を使用しているため生分解速度が速く、自然や生態系を含む環境負荷を大幅に軽減させることに見事成功している。

北九州市消防音楽隊

北九州市の誕生と同時に発足。平成4年（1992年）発足のカラーガード隊とともに市主催の式典やスポーツ・文化の祭典、国際的な行事などに積極的に出演。消防の広報に努めるだけでなく、「北九州市の音楽隊」として活躍している。

定期演奏会

パレード参加の様子

消防”夢”コンサート

教育機関と連携して市内各小学校、特別支援学校で行われるコンサート。音楽隊の演奏やカラーガード隊の演技を通じ、防火・防災意識の高揚を図るとともに、音楽の素晴らしさや仲間と音楽を創造する楽しさを伝え、児童の健全な育成に寄与する。

ウェールズラグビー協会と
北九州市消防局の友好関係

ラグビーワールドカップ2019日本大会出場のウェールズ代表チームの事前キャンプ地に北九州市が選ばれた際、北九州市消防局による応援機運を高める取り組みが縁となり、同チームの愛称である「RED DRAGONS」を共有する関係に。これを記念して、北九州市消防局の消防車両には「RED DRAGONS」と「北九州市消防局」のイメージから作成されたオリジナルエンブレムを貼り付けている。

記念エンブレム

ラグビーワールドカップ2019日本大会出場のウェールズ代表チームの事前キャンプ地に北九州市が選ばれた際、北九州市消防局による応援機運を高める取り組みが縁となり、同チームの愛称である「RED DRAGONS」を共有する関係に。これを記念して、北九州市消防局の消防車両には「RED DRAGONS」と「北九州市消防局」のイメージから作成されたオリジナルエンブレムを貼り付けている。

記念エンブレム