2019.07.01

消防本部・消防署FIRE REPOTRT,岡山市,岡山県,災害,訓練

FIRE REPORT #151 地理的特性に合わせた装備資機材で特長を発揮

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岡山市消防局

岡山市消防局の救助隊

「桃太郎のまち」で知られる岡山市は、瀬戸内海地方特有の温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれる政令指定都市。近畿と九州を結ぶ東西軸と、四国と山陰をつなぐ南北軸の交点に位置し、交通の要衝でもある。
この岡山市を守る岡山市消防局は、1局、2部、5課、5署、1分署、13出張所、1救急ステーション、1消防航空隊という体制で、救助隊は5署すべてに配置される。そのうち北消防署は特別高度救助隊、西・中・東・南消防署それぞれに特別救助隊が置かれ、管轄ごとの地理的特性に合わせた装備資機材で特長を発揮しながら相互に連携し、災害に備えている。

岡山市消防局公式PR動画 ~「鬼」が守る、「桃太郎」のまち~

北消防署 特別高度救助隊(ハイパーレスキューおかやま)

震災工作車
フロントとリアのウインチ、クレーンなどを活用して多目的に使用できる震災工作車。車両後部には大型バスの牽引もできる(最大12t)レッキング装置(写真右)を備え、車両事故の際にも出動する。リアウインチは前後左右への首振り式で、1本11t合計22tまで対応可能。
震災工作車パルフィンガー製屈折式クレーンの先端には、用途に合わせてグラップルを取り付け、車両や瓦礫、土砂などの除去にも使われる。写真右はスクラップグラップル。
救助工作車Ⅲ型
バス型の救助工作車Ⅲ型(写真上)は移動中に車内(写真左下)にてある程度の装備を準備できる利点がある。ドライスーツは汚染水等で使うため夏でも積載。
救助工作車Ⅲ型

広報活動にも積極的に取り組む。写真は大型ショピングモールでの救助展示訓練の様子。実際に廃車を持ち込み、救助の様子をデモンストレーションした。

北消防署の4階から6階は吹き抜け構造であり、その広大なスペースにさまざまな想定で立体的な訓練ができる屋内訓練室(写真右)が整備されている。ここだけで、消防救助技術大会陸上の部7種目のうち、5種目の訓練が実施可能。また、屋内進入訓練に使用する偽装住宅個室(写真左)や緊急援助隊用をはじめとする多くの防災用品を保管する複数の倉庫を備え、どのような災害時にも総合防災拠点としての機能性と機動性を発揮できるように設計されている。
地下タンクにガソリン1万L、軽油1万Lを貯蔵する自家給油設備を完備。過去の大規模震災時にガソリンスタンドに利用者が集中し、消防車両の運用に支障が出た教訓から。
きれいに整頓されたヘルメット。黄色が救助隊員用の防火帽で白色は保安帽。災害に応じて使い分ける。

北消防署の救助隊

北消防署にはIRT登録隊員11名を含む24名の救助隊員で構成する特別高度救助隊(ハイパーレスキューおかやま)が配置される。火災や交通事故から水難救助、地震などの大規模災害にも対応できる特殊車両や高度な救助資機材を保有。

西消防署

特殊災害対応車
汚染された外気が内部に侵入しない陽圧構造の特殊災害対応車を配備。前後左右にカメラが設置され、撮影画像を伝送するシステムも搭載している。
有害物質特定訓練検知装置を用いた有害物質特定の訓練の様子。

災害対応ピクトグラム


NBC災害や多数傷病者発生時などに、要配慮者(子ども、障害者、外国人など)を含むすべての人に対して視覚によって行動を促し、情報を伝達するツールとして、川崎医療福祉大学と共同で開発。実際に大型商業施設での避難誘導で効果を発揮した。

西消防署の救助隊


管轄エリアに山岳地域があることから、軽量化を重視したロープレスキュー用の資機材を配備。また多種類の検知機材を装備しており、NBC災害時には検知活動を中心に救助活動を展開する。

中消防署

スイフトウォーターレスキュー訓練
急流域でのスイフトウォーターレスキュー訓練。ラフトボート操船とザイルを併用した救助活動を迅速に展開する技術を磨く。

5t重機と重機搬送車を配置。重機の操作は非常に繊細で、日常的に扱っていなければ練度を維持できないことから、傾斜地での活動や遠隔操作も想定しつつ、日々操作訓練を行う。

平成26年広島土砂災害に緊急消防援助隊として出動した際の活動状況。

中消防署の救助隊


一級河川である旭川の急流域に近いため、スイフトウォーターレスキューの技術と装備を備えるのが中消防署の特別救助隊。また重機が配備され、その操作技術を日々練磨している。

南消防署

大型除染システム搭載車

大型除染システム搭載車に装備されたフレーム式除染テントに負傷者を運び込み、除染する訓練の様子。NBC災害発生時には検知部隊の西消防署特別救助隊と緊密に連携をとりながら対処する。

岡山市消防局唯一の25m級屈折梯子車。ジャッキ自動矯正により、狭いアウトリガー張り出し幅でも安定し、狭隘路で活動可能。

南消防署の救助隊


南消防署の特別救助隊は、NBC災害時に大型除染システム搭載車を用いて除染区域での一次トリアージや除染活動を行う専門部隊。ほかに屈折梯子車や水上バイクも配備される。

東消防署

水難救助車
水難救助車は救助工作車とともに6名体制で出動する。車内各部には水難救助に必要な装備資機材が効率的に収められ、温水シャワーや灯油式ヒーターも装備。車両後部にはレスキュースレッドとともにSEA-DOOの水上バイクが格納されている。ウォータージェット推進の水上バイクはプロペラ推進と違い、水深30cm程度までの浅瀬でも航行できる上、小回りがきいて速い流れのなかでも動きやすいという長所があり、平成30年7月豪雨の救助活動でも活躍した。

ルーフに積載したアキレスの水難救助ボート(写真左)や水上バイクはパワーゲートで下ろす。車両右側面にはクレーン(写真右)があり、岸壁に横付けして直接水面に下ろすことも可能。

隊員のアイデアによって改良が加えられたブイ2種。写真左はアンカーにつながったロープを巻く軸をずらすことで、投入後、自動的に回転してロープを繰り出し、着底後は止まる仕組み。写真右の検索用ブイはロープにラチェットを組み込み、投入後に長さをワンタッチで調整することができるようにしたもの。

東消防署の救助隊


東消防署には水上バイクが積載された水難救助車が配置され、水難救助に特化した隊員が所属する。救助工作車は最新で、速やかな現場活動のために資機材の配置にさまざまな工夫が凝らされている。
救助工作車Ⅱ型
東消防署の救助工作車はハイルーフタイプ。バス型で、車内からもある程度の装備資機材にアクセスでき、移動中に準備を行うことが可能。写真左は交通救助対応の際に最初に使用する装備を入れた交通バッグ。写真右は車内後部から車外の様子を確認できるモニター。

呼吸器の面体にはスピーカーを装着し現場での意思疎通に配慮。

ドライスーツも用途別に複数を準備。左は潜水用のシェルドライ。右は水面活動用のサーフェスウォータードライスーツ。

体験したことのない現場で使命感が支えた救助活動

平成30年7月豪雨

平成30年7月豪雨では、東消防署管内の砂川の堤防が決壊し、約2300棟が浸水した。
7日午前2時55分、救助指令。現場到着した東消防署の東救助1号車分隊は、濁流が住宅地一帯に流れ込み、近づくこともできない状況を目の当たりにする。出動部隊は降りしきる豪雨のなか、的確な位置に現場指揮所を開設、同時に水難救助隊は、救命ボートやラフトボート等を積極的に使用し救助活動に従事した。活動方針は「2階建て住宅の住人には垂直避難を呼びかけながら、傷病者、平屋建て、独居老人宅を最優先に救出する」というもの。
その後、岡山市内から多くの救助隊が駆け付け、2日目には自衛隊も到着し、3日間に及ぶ救助活動の結果、237名を救出し、同地域での死者は1名もいなかった。
現場へ最先着した東消防署の橋本副隊長は、「多くの助けを求める住民の方々に垂直避難を訴えながら、災害時要援護者を優先して救出していました。活動するなかで、不安な顔をして2階に避難している多くの方々に『私達は大丈夫だから、隣のおばあちゃんを助けてあげて』など、近所の高齢者を思いやる声に活動隊員は勇気づけられ、背中を押してもらった気がしました。長時間の活動でしたが、疲労よりも使命感が圧倒的に上回っていました。このような地域の強い結束が有効な情報となり、結果につながったのではないかと感じます。」と当時を振り返った。

「第48回 全国消防救助技術大会」 陸上の部会場

消防教育訓練センター

消防教育訓練センターは大きく2つのエリアに分かれており、訓練塔以外にUSAR(都市型捜索救助)訓練や土砂災害対応訓練が可能な施設を整備。また全国に先駆けて津波・浸水域訓練場も設けられている。


震災、土砂災害など、多くの想定で訓練が可能。上はその一例で、現在もサイロ救出訓練施設など続々と新しい施設を整備中である。基本的に施設は訓練の一環として重機なども用いて自前で構築。中国地方5県や西日本全域のIRT(国際消防救助隊)登録隊員の連携訓練実績もあり、JDR(国際緊急援助隊)救助チーム認定テストの主要なものがすべて実施できる環境を整えている。

ブリーチング内側の様子が確認できるよう可視化に配慮。コンクリートパネルを入れ替え式にして訓練の迅速化も図っている。

津波・浸水域訓練場では県内及び近県の消防本部と合同で水陸両用バギーの訓練も実施する。このバギーは平成26年広島土砂災害、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨でも活躍。
【取材協力】
岡山市消防局/岡山市北区大供1-1-1

07|08 2019/FIRE RESCUE EMS vol.86
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