2018.01.15

消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.52 アイルランド共和国 コーク・カウンティ消防

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命の絆 消防ヘルメット

消防ヘルメット80号

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が、彼らを突き動かせる。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 

No.52 アイルランド共和国 コーク・カウンティ消防
カナダ スーパーチーフテン社 FRP製セーフT型ヘルメット

 
 アイルランド島にあるアイルランド共和国は、古代からほかの民族に攻められ、1801年にイングランドに併合されてしまう。併合後は国内植民地化されてしまい、宗教上・民族上・職業等、多方面で抑圧された。農業中心の生活のなかでジャガイモ病による3年に及ぶ大飢饉となっても、盟主イングランドは救いの手を差し出さず、餓死者は百万人にも及ぶなど悲惨な状況となり、ついには国外への移民として脱出するほかなかったのである。第一次世界大戦の後、アイルランドとイングランドとの間に戦争が起こり、1922年にやっと盟主国連邦から脱退し、自由国となるのだが、このときアイルランドの32のカウンティのうち北部6カウンティが残存して今日の「北アイルランド国」となり、連合王国内の一国となる。古来よりアイルランドは、首都ダブリンを含む「レンスター」、南部のコークを含む「マンスター」、西部の「コノート」、北部(北アイルランドを除く)の「アルスター」の4つの地方からなる。

 現在のアイルランドには合計216の消防署に3,300人の消防職員と十分な車両、救急隊が配置されている。ただし、24時間の常勤体制は規模の大きい都市に限られていて、首都ダブリンが12署と予備2署、コーク市2署、リムリック市及びゴールウェイ市が各1署のほかは、ウォーターフォード、ナヴァンとダンドーク各市に1~2名の常勤消防職員が待機。大多数はホールタイム制の緊急呼び出しによる出動としている。また、同国には市民防衛隊もあり、救急や水難対応を進めている。

 消防法は1981年に制定し、2003年に改正。立入検査による建物の健全維持を図るため、ビル建築管理法は1990年に制定、2007年に改正されている。消防の歴史はダブリン市が2012年6月17日に創設150周年を迎え、南部のコーク市でも火災保険会社による消防隊を母体にして1877年から公設消防が創設されている。

【アイルランドでの主な火災】
◯1965年 北アイルランドのウォールデポ火災への支援出動
◯1970年 ビアーズマック火災
◯1981年2月14日 ダブリン市のスターダスト・ナイトクラブ火災
         ―― 死者48人、負傷者214人を生じた。
◯1984年 ダブリン市グランハウス爆発での消火・救助活動
◯1995年 ダブリン市ウィックロー山脈の山林火災
◯2002年 ダブリン市内の大洪水対応
◯2009年 アイルランド共和国全体の悪天候による洪水で救護と給水活動

 今回紹介するのは、マンスター地方のコーク・カウンティ消防が1960~70年半ばまで使った、カナダのスーパーチーフテン社のセーフT型ヘルメットである。従来のものと比べ、FRP製で軽量、頑丈、対感電性能、耐衝撃力、耐熱性等が優れ、世界の消防組織が競うように採用した。

 黒色で一体成型されたやわらかな曲面構成と後ろの長いつばは、消防活動をする隊員の安全に寄与したものである。2本のファイア・ランク・ラインは、ステーションコマンダーを示し、帽体正面の盾型の消防章は、アイルランド全体の一体性を表現している。今日のヘルメットには各々の地方や都市の紋章が付いているが、4つの地方の紋章(コート・オブ・アームズ)をあわせ持つ消防章がこの時代を感じさせる。

―― グリーンのハープはレンスター地方、3つの王冠はマンスター地方、鷲の左半分と錮を持つ左手はコノート地方、赤い右手とセントジョージの十字架はアルスター地方の紋章で、皆、本来の意味と意図を持っている。

 ヘルメットは1986年4月23日 、コーク・カウンティ消防隊長 パトリック・B・ポランド氏から贈られたものである。血気盛んで純朴な国民性を持つアイルランド人が、アメリカやカナダ、またはオーストラリアへ移民し、困難を切り開いて消防士となった。新しい国で消防という厳しい業務をまっとうし、脈々と受け継がれるファイアマン・スピリッツを彷彿とさせてくれる愛すべきヘルメットだ。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
特徴的なデザインにはさまざまな機能が秘められており、頭部保護という同じ目的を持ちながら国によっていろいろなパターンを見ることができる。
そもそもヘルメットは軍事用として誕生し、古くから頭部に直接加えられる打撃力を減少し、直接的な負傷を防ぐことに重きがおかれてきた。後に用途ごとに進化を続け、使用される環境によって求められる性能やそれに伴う形状や素材の変化を見せてきた。
消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

災害現場という場所は何が起こるかわからない。
突如、倒壊物が襲い掛かってきたり、足場が崩れて転落する可能性も大きいわけだ。頭部に大きなダメージが加われば命に関わる結果となり、脳に障害を与える危険もある。災害現場であれば頭を打って意識を失っている間に要救助者の生命は危険に曝され、隊員自身も更なる悲劇に見舞われないとも限らない。
つまり、消防におけるヘルメットとは隊員はもとより、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在であるといえる。ここでは世界の消防が使用する「消防ヘルメット」にスポットをあて、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



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