2021.08.27

消防ヘルメット消防ヘルメットFIRE HELMET COLLECTION,消防ヘルメットコレクション

命の絆No.71 オランダ王国 アムステルダム市消防

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命の絆 消防ヘルメット

消防ヘルメットコレクションNo.71

THE BOND OF BROTHERHOOD
助けを求める声があるならば、いかに過酷な災害現場であっても身を投じていく消防士たち。

時代や国境を超え、すべての消防人の心にある博愛の精神が彼らを突き動かす。隊という名の“家族”が、危険な現場で協力し合い“人命救助”という任務を成し遂げる。

「消防ヘルメット」はそんな彼らの活動を支え、危険から身を守る盾となってくれる。現場には要救助者、仲間、そして己の命をつなぐ博愛の絆があり、その象徴が消防ヘルメットといえるであろう。

 
No.71 オランダ王国 アムステルダム市消防
旧西ドイツ レーマー社 消防式典用「イノーバ 1200」 ポリカーボネート製ヘルメット

 
オランダは12の州441の基礎自治体のすべてに消防隊が配置され、プロフェッショナルの消防職員4,000名とボランティア消防員24,000名が日々活動している。このうちアムステルダム市消防は19の消防署によって、火災・爆発、車両事故、危険物流出、水難、各種の大規模災害等に対応している。

第二次世界大戦終結後、オランダの消防ヘルメットとしては国産スチール製軍帽の流用、連合王国(イギリス)ヘルメット社の輪出モデルであるクロムウェル型、さらにアメリカ合衆国MSA社トップガード型などが使われていたが、戦前は長く旧ドイツから輸入していた経緯もあり、戦後の西ドイツで生産が再開されたRÖMAR(レーマー)社の製品も使われるようになった。

今回紹介するヘルメットもレーマー社の1971年モデル「イノーバ1200」で、帽体はポリカーボネート製。特徴はなんといっても、正面に取り付けられたブラス製の重厚感あふれるアムステルダム市の紋章である。紋章はそれを構成するパーツに意味がある。まず中央部の盾であるが、貴族であり騎士であり、1200年~1282年にかけてアムステルダム王国の君主だったPRISIJN(プリサイン)家の紋が元となっている。本来は赤地の中央に黒の縦帯があり、銀または白色の3個の十字架が縦に並ぶ。これはアムステル川の水面と聖アンドリュー・クロスを表している。次に紋章上部の金色の王冠であるが、オーストリア帝国のマキシミリアン1世から1489年に贈られたものを示し、同国やドイツ王、神聖ローマ皇帝との重要な関係性を象徴している。これらを左右から支えている黄金の2頭のライオンは16世紀になって加えられたものだ。さらに第二次世界大戦中におけるナチス党によるユダヤ人の排除に抗議して、オランダのウィルヘルミナ女王が1947年3月27日に発表した「人種差別撤廃と生命への畏敬」に関する文言が追加されて、現在のアムステルダム市の紋章となった。スクロールにはHELDHAFTIG-VASTBERADEN-BARMHARTIG(レ・ダフリック・ファストラーデン・バンハテス)とあるが、訳すと「雄々しく、決意する。慈悲深きことを」といった意味になる。

頭頂部から後頭部にかけるコムはブラス製の角形で、最前部の高さが3センチメートル、中間から後端は2センチメートルで、幅は2.5センチメートルもあって異彩を放つ。両側には16本の尖光と中央にクラシカルなオランダ消防ヘルメットを配した飾り金具が付けられており、かつて皮革製へルメットの時代に前部にあった飾りバンドの名残を感じさせる。帽体内のライナーとハンモックは軟質合成樹脂が使われていて、あご紐は丈夫な黒染め皮革製。最大径17センチメートルの半円形のしころは薄手の黒染め皮革で、ヘルメット外縁周環はブラスで仕上げられている。全体重量は1.2キログラムだ。帽体内側後部のコム端末の止め金具に7158の文字が確認できるので、1971年製造ではないかと推察される。また帽体内の赤いシールにはオランダの輸入商社名がKLAAIJERME(クライエルミ)と記されている。

このヘルメットは1983年9月16日に、アムステルダム市BRANDWEER(消防)の幹部、ローター・デ・ブルイン氏から贈られた。式典時に着装される重厚なヘルメットで、黒色とブラスの対比が映える。現在のガレF1.E型ヘルメットに置き替わるまで重要な装備品として使われた。

PROLOGUE 災害現場で活動する隊員たちの姿で、ひときわ目を引く存在が「ヘルメット」である。
戦闘用の兜をルーツに持つヘルメットの目的は、衝撃から頭部を守り、直接的な負傷を防ぐためにあるが、国によりさまざまな特色を見せ、性能やそれにともなう形状、デザイン、用いられる素材は時代や環境とともに進化を遂げ続けている。消防で用いるヘルメットも、“災害”という敵から“消防士”という戦士を守るための“防具”であるといえる。

消防におけるヘルメットとは、要救助者や仲間の命を結ぶ重要な存在である。災害現場では突如倒壊物が襲い掛かってきたり、足場の崩れ、転落の危険に晒される。もし頭を打ち意識を失えば、要救助者の生命は守れない。隊員自身もさらなる悲劇に見舞われないとも限らない。消防ヘルメット一つひとつにはストーリーが宿っている。世界の消防が使用した「ヘルメット」から、郷土を災害から守ってきた消防士たちの魂を伝えていく。



09|10 2021/FIRE RESCUE EMS vol.99

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