2021.08.30

消防活動・訓練・その他活動

【第7回 共有します! ヒヤリハット】
〜連載企画 ROPE RESCUE COLUMN
ロープレスキュー ここが知りたい!〜

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連載企画 ロープレスキューコラム

皆さんこんにちは。そろそろ「ロープレスキュー」をやってる方向けの内容も必要かなということで、今回は僕が講習中や訓練中に見かけたヒヤリハット事例を共有したいと思います。僕はけっこう神経質で慎重な指導を行いますが、その理由の一部をご紹介します。

カラビナの締め忘れ、緩み

ダントツのナンバー1、弊社講習でも毎回のように発生するヒヤリハットです。多くの受講生は救助大会経験者で、123カラビナを数千回は締めてる人も珍しくありません。それでも、忘れます。ID登はんの際は、カラビナたったの3つしか使いませんが、その3つすら締め忘れが頻発します。
【原因】
救助大会(操法)は訓練の「型(流れ)」が決まっています。カラビナの安全環を確認するタイミングは訓練前からわかっています。でも、ロープレスキューや想定訓練には「型」がなく、そのときどきで違う活動になります。そうすると、頭のなかは「次はこれをして…」「いや、それよりも…」といっぱいいっぱいになり、安全確認の手順は脳みそからこぼれ落ちてしまいます。簡単な行為ほどこぼれやすいですね。これが実際の災害だったら?考えることとプレッシャーがもっと増えるわけですから、忘れる可能性がさらに上がると思います。
また、スクリューロックは非常に緩みやすい傾向があります。とくに123カラビナは締めやすいぶん、非常に緩みやすい特性があります。締めた際の点検だけでなく、カラビナの向きや定期的な再点検も重要です。

【対策】
僕はほとんどのカラビナを3段式のオートカラビナに入れ替えました。我々人間は、それほど賢くはないことをよく自覚しておくべきですね。安全環締め忘れゼロは無理だと諦めています。

下降器のセットミス

僕自身の話です。とあるビル訓練で下降器をセットし仮固定→ビルの壁面に乗り出したところ、ロープがズルズル流れて、そのまま自己確保で宙吊りになりました。主催者の方に「大西くん、なにしてんの?」と笑われました。ASAPで宙吊りにならなくて本当によかった…。
【原因】
ロープのセットミスでした。実はこのときギックリ腰で訓練できない体調でした。遠路はるばる参加したのに、このままではもったいない…そのとき自分が持っていない下降器を見つけ、降下してみた結果がこれでした。体調不良による不注意・焦り(欲張り)・不慣れな資器材の3連コンボですね。
【対策】
欲を出すのはこのような結果を招くことがあります。慢心も。これは「気をつけよう」では解決にはならないので、前述のとおり下降姿勢が取れるまで自己確保を外さないことです。自分以外の人間に頼んでダブルチェックも!

ASAPをセットした先は…!

とある有名チームと訓練したときのことです。壁面に設定されている垂直梯子を若い隊員が登っていきました。その隊員がASAPを掛けていたのは、天井設置型の確保器具を引き下ろすための3mmの細引きでした。
【原因】
本当に気づかなかったのか、本人はわかっていたけど「確保されているフリ」をするため(時間短縮のため)にやったのかはわかりません。若手だったので、トロトロしてられないプレッシャーはあったと思います。
【対策】
ASAPには「セット時に必ずロックが掛かるか点検する」という指示事項があります。消防ではなにか行動する場合は声を出して周りに知らせ、周りの人間がそれを確認する習慣があるはずです。これらが正しく習慣になっていれば、本人または周囲の人間が気づけたはずです。安全管理や指揮者は、若手や不慣れな隊員の行動に目を光らせる必要がありますし、焦らせないことも重要です。

指がロープに…

ゼロエッジ※の訓練で、数回発生しました。1つは降下する際に自分のメインロープを掴んでいて、下降姿勢に入ったと同時に自分の体重で指が抜けなくなる例。もう1つは担架の出し入れで、掴んでいたロープと地面に挟まれる例です。ちなみに、僕はエッジローラーを押さえようとしたもののローラーが横転し、そのまま指をロープに挟まれたことがあります。エッジローラーに手袋を食われた人もいました。
※ゼロエッジ:GLにある支点から高取り支点を使わずにロープが地面を這っている状態
【原因】
ロープは動きます。懸垂降下では自分のほうが動くわけですが、同じことです。動くものを手で触れるというのは「巻き込み」リスクがあります。これは工場で回転物や移動物に触れてはいけないのと同じです。
【対策】
懸垂降下のロープの場合、ビレイロープのほうを掴む、メインロープに設定したハンドアッセンダーを掴む、フットテープや別に手掛かり用のロープを設定する、など。救助ロープの場合はカラビナ(とスリング)を掛けて、それを掴むなど。

STOPで墜落

降下・登はんの反復練習のため、1.5mほど登って降りる訓練をしているときに、STOPを使っていた受講生が地面まで落下しました。(負傷なし)
【原因】
慣れてきて油断し、すでに左手でレバーに触れているのに、右手をロープ端末から離したようです。1.5mという高さだったため、ASAPなどのバックアップは使っていませんでした。
【対策】
「端末を離すな」は徹底していましたが、一瞬で事故は発生しました。実はこういう事故は日本でも多数発生しており、「STOPを救助で使うのはやめましょう」といわれていたころでした。バックアップロープを使用するのはもちろんですが、そもそもメインとしての信頼性が低すぎるので、現在では講習でも使用していません。

端末に資器材セット

これは弊社講習の大事なネタでもあるんですが、結索の端末が長すぎるのは禁忌です。懸垂下降の際、長く垂れた端末にIDをセットした事例と、ASAPを設定した事例を目撃しました。
【原因】
メインロープのすぐ隣に、メインロープと同じロープが垂れていれば間違えるのは不思議なことではありません。
【対策】
端末を適切な長さで結索しておけば一見してわかりますし、物理的に間違えることが阻止されます。同じような理由で、ロープ上部を「仮固定」したり、簡単に解けるような輪っか(結索)も禁忌です。間違ってぶら下がったり、カラビナを掛けてしまうと致命的な結果になるからです。こちらについては、日本の消防でも殉職事例が複数あります。トラップになるような設定はハイリスクだと思ってください。

ダブルIDでハイライン崩壊

ハイライン(ブリッジ線)の訓練で、要救+介添がツインテンションのメインロープで吊られている状況でした。地面への降下の指示を受けた隊員は、メインロープのID2つと間違えて、ハイラインを展張しているID2つを解除しようとしました。展張+2人荷重のIDを1人で解除できるはずもなく、焦った彼は両手でIDのレバーを1本ずつ掴み、力一杯引いたのです。爆発音のような音がして、要救と介添が2mほど落ちるのが見えました。パニックロックのおかげで地面への激突は免れました。
【原因】
ハイラインを展張するID、メインロープのID、コントロール線のIDなど、支点に同じ資器材が密集し、紛らわしい状況でした。にもかかわらず、IDに端末固定がされていませんでした。また、これを隊員1人で操作していました。前述のようなトラップにハマったといえます。
【対策】
端末固定(ストッパー作成)は「触るな」というマーキングでもあり、不意の操作時(引っ掛けたりした場合)の安全装置にもなります。勘違いされてもそれを解除しようとゴソゴソすることになり、誤操作される前に察知できるチャンスを稼げます。そもそも、ダブルIDを1人で操作することが禁忌です。両手でレバーを引かれるとフリーフォールのリスクがある(二系統になっていない)ため、必ず2人で操作しましょう。

 

いかがでしょうか。最近はロープレスキューの導入も進み、自主勉強会も活発に活動しています。おそらく各地ではもっとたくさんのヒヤリハットが起きているはずです。どんなによい資器材を使っていても重大事故が起きる余地は十分にありますから、「そんなことするバカはいない」などと考えず、堅実な活動をお願いします。

大西 隆介(おおにし りゅうすけ)
1987年生まれ。大学時代に公共政策を学び、部活では登山やクライミングに没頭した経験からロープレスキューの世界へ。日本の労働安全法令や消防組織に適した救助技術を研究している。救助大会「縄救」や「日台消防交流会」などのイベントも主宰。

office-R2 ロープレスキュー講習主に11mmロープと欧米の資器材を用いた「目的としてではなく救助の手段としてのロープレスキュー」技術講習。レベル1~2講習は基礎的な技術と知識のほか、国内法令や安全管理について学ぶ。受講者には「ロープ高所作業」「フルハーネス」の特別教育修了証が交付される。
講習などの情報はHP、facebook、Instagramなどで随時CHECK!

お問い合わせ090-3989-8502
ホームページhttps://r2roperescueropeacce.wixsite.com/office-r2

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